続・続く「げんしけん」!“もう少し下の世代”から見てみると?

という訳で、今回は月刊アフタヌーン』で連載中の「げんしけん二代目」(木尾士目の話を。●1
げんしけん 二代目の壱(10) (アフタヌーンKC)
キッカケは、この記事を読んだこと。
げんしけん二代目はリアルなオタクを描いているんだろうか? (via ゴルゴ31)
やっぱり「げんしけん」話は面白い、というのが率直な感想!
この記事は、以下●2のように締め括られている。尚、ヘタレヒロイン斑目さん萌え。

げんしけん二代目は(今現在の)オタクをリアルに描いたとは言えない。にも関わらず、誌面での扱いを見ると作品の人気自体はかなり高いようだ。

個人的な意見だけれど、二代目はアフタヌーンの読者が30代だからこそ人気があるんじゃないかという気がする。この世代が若い頃に経験した(もしくは、こういう世界を経験したかったという願望)オタクライフそのままの世界が展開されている、だからこそ人気が持続しているんじゃないか、と思う。

逆にもう少し下の世代、10代や20代前半ぐらいの層にはこの作品はどう見えるんだろうか、それがちょっと聞いてみたい気はする。

という訳で、20代前半の自分は「げんしけん二代目」をどう感じて楽しんでいるのか書いてみようかなと思ったのでした。

さて、上記の記事ではげんしけん二代目」は「オタクのリアルな生き様を描いていない」と書かれている(はず)。
例えば、ボーカロイドyoutubeニコニコ動画●3、pixiv、2chまとめブログ、SNS等々。
そうした、今の(特に若い)オタクなら多少なりとも造詣を持っているであろう物が描かれていないから、と。


実は、こうした比較的新しい物が描かれていない、という点には個人的にも完全に同意。
女性オタクという要素は追加されたのかなと思いつつ、相変わらずネット関係(?)は殆ど影も形も見えない本作。●4
この点から見ると、二代目が「全然変わってない。驚くほど初代と内容が変わっていなかった」というのも分かる話で。


勿論、作者の木尾先生の意図や思惑は自分には分からないけれど、
意識的・無意識的に関わらず、少なくとも「げんしけん」という作品では
ネット関係の諸々は描かないようにしているのではと、自分も読みながら思っております。


ただ、そうした外部的な(?)要素ではなく内部的な要素で、初代と二代目は随分と違う気もしているという話を少々。
特に、そう感じているのは自分の年齢も大きく関係しているのではないかなぁと。

内部的な要素って何ぞやという話になると、一言で言えば(自分が感じる)居心地の良さの差
個人的には、初代よりも二代目の「げんしけん」の方が、読んでいて親近感や心地良さが大きいなぁと。
じゃあ初代は居心地が悪かったのかというとそうではなく、自分にとって初代の面々は先輩というイメージで。
一方の二代目は今の自分と年齢的に近い事もあり、友人というイメージで、雰囲気に「あるある」度が大きい気がする。


と言うのも、自分はオタクな世界●5に足を踏み入れてから、「げんしけん」初代に出逢っていて。
記憶が確かなら、「げんしけん」初代を読み始めたのは高校生の時だったはず。
そんな高校生の自分にとって、初代の面々は楽しそうな、けれど遠い世界の先輩であり続けていて、
憧れや親近感よりも、尊敬の方が先に来ているのかも。


この辺りは、感覚的・雰囲気的な事だから伝わり辛そう……と思いつつ、以前も一度まとめていて。
[木尾士目] 続く「げんしけん」!新世代と色とりどりの想い!
例えば、二代目の新入生に見られるような、オタク趣味へのオープンさ・ポジティブさ
ダラダラもするけれど、同時に一定以上の熱はある、文字通り適当なオタク・スイッチ(?)のON/OFF。
楽しい・好きを共有する事を躊躇しない、アグレッシブ(?)なコミュニケーションなどなど。
げんしけん 二代目の参(12) (アフタヌーンKC)
最新3巻の表紙からもそういう雰囲気が伝わってきて、個人的には思わず混ざりたくなってしまうのでした。

ただ、10代後半や20代前半と若ければ、必ず二代目の方が心地よいかと言うとそうでもないらしく。
自分より若干若く、より「げんしけん」な境遇に近い友人・漣氏は、初代の方が居心地の良さを感じている気がする。
「自分は初代の『げんしけん』に憧れてオタクの世界に足を踏み入れたから、今は親しい友人達から取り残された気もしてしまう」
確かそんな事を、いつぞやの「げんしけんトークで言っていたはず。


自分の友人のように(恐らく)中学生くらいで、オタクな世界に足を踏み入れるのと同時頃に初代「げんしけん」を読んだら、
初代の面々は憧れの先輩でもあると同時に、共にオタクとして成長(?)してきた友人でもあるのだろうと。
それならば、世代の差による違和感は勿論の事、斑目さんの冷めていく様子に寂しさも感じるのも分かるなぁと。


すると、自分が初代よりも二代目に居心地の良さを感じている事と併せて、
友人が二代目よりも初代の方が心地良く感じるのは合点が行くのと同時に、
初代と二代目で描かれている内容は(個々人で感じ方の差はあれど)確固たる違いがあるのだろうと思うのでした。
そして、その違いを如実に示しているのが、我等がヘタレヒロインの班目さんなのかなとも!●余談



と、徒然なるままに「げんしけん二代目」への想いを綴ってみました。


自分は「げんしけん」シリーズを周囲と話す際、
世代差(自分の場合は、10代後半〜30代前半くらいが多いかも?)は勿論のこと、
今回書いたような個人差●6によっても感想や感じ方に違いが見られて面白いなぁと常々思っていて。
そう思わせてくれる「げんしけん」という作品への感謝も込めて、二十代前半の自分が感じている事を文字に込めてみたのでした。


最後に、今回の内容が冒頭の記事&執筆されたbonzoku氏に、僅かでも貢献(?)できたら嬉しく思います。
また、自分の友人こと漣氏には感謝と同時に、また若者「げんしけんトークを是非とも!



●1
最新の『アフタヌーン』はまだ読めていないので、最新話の内容と矛盾した場合はご容赦の程を。
月刊 アフタヌーン 2012年 08月号 [雑誌]
●2
一部改行&強調は筆者ではなく、自分によるもの。
●3
この辺りのオタク文化に関しては、同じく『アフタヌーン』で連載されていた「ハックス」(今井哲也がメインテーマに取り入れていたなぁという事も思い出したり。ちなみに、とってもオススメ。
ハックス!(1) (アフタヌーンKC)
●4
但し、アニメに関しては(コスプレや会話の中で小ネタとして)結構出てきている気がしていて、それは「げんしけん二代目」だけでなく楽園 Le Paradis』で連載中の「Spotted Flowerでも同じく。そうした木尾先生の細かさには毎度感心。
楽園 Le Paradis 第9号
●5
「オタクって何ぞや?」という議論もあるのだろうけれど、ここでは夢中な趣味を追いかけずにはいられない人くらいの認識で。


●6
特に、今回書いた「げんしんけん」を読み始めた時期とオタクの世界に足を踏み入れた時期の関係は、影響が大きい気が。

●余談
余談ながら、上記の過去記事でも書いた通り、そんな自分でも二代目での班目さんの冷め方は物凄く印象的で。
[木尾士目] 続く「げんしけん」!新世代と色とりどりの想い!
この記事を書いた時には、班目さんの“冷める”感覚は全く実感が湧いていなかったように思います&実際そんな事を書いています。
でも、今年の上半期、合計で3-4ヶ月くらい趣味全般から離れざるを得ない状況を経験した今なら、
良くも悪くも(?)現実の選択肢としてぼんやりと想像くらいはできるようになったかなと。


でも、自分の時に猪突猛進な性格上、やっぱり情熱を失い切る事はできなさそうで。
リアルの諸々に全力(以上)な時は、また趣味から遠ざかる事はあるにせよ、
落ち着いた頃には、趣味に猛進していそうだなぁと我ながら呆れつつ思うのでした。


それと、ネットを通じて出逢えた上記の友人こと漣氏とは、
漫画などなどガッツリ話せる共通項が沢山ありつつ、今回の「げんしけん二代目」のように確かに違う点もあって、
そんな同年代の彼と、昨年冬コミで一緒に(ほぼ初めての)同人誌を作れた事、
二人共が大好きで、いつも楽しませてもらっている『楽園 Le Paradis』への愛や感謝を一冊の本という形にできた事は、
本当に幸せで、きっと一生モノの思い出になるだろうと強く強く思っております。
楽園は、ここにもある。「楽園に花束を Des Fleurettes pour Le Paradis」、COMIC ZIN委託中!
楽園は、ここにもある。「楽園に花束を Des Fleurettes pour Le Paradis」、COMIC ZIN委託中!
そんなチラシの裏、もとい余談でした。