残念だから魅力的?愛らしい悪女達!

さてさて、拙ブログでは、以前残念な男達特集を書きました。
残念だから人間らしい!憎めないカッコ悪い奴等!
確かに彼等はカッコ悪くて、ヒーローでは決してないけれど、その残念な所に共感してしまう自分がいる。
実は彼等の残念さと言うのも、圧倒的才能やカッコ良さと同じく、キャラクターの魅力なのではないかと思ったのです。


そして、この人間らしい残念さの魅力と言うのは、きっと皆大好きなダメな大人達にも通じるはず!
ダメだけどダメじゃない?このダメな大人達が熱い!
いつもは子供に心配されるくらいダメダメ、けれど、決める時はきっちり決める大人と言う一種のギャップ。
こういった大人達の人気というのは、普段の親近感を抱くような残念さがあってこそだと感じるのです。


そう、人間の負の側面を含めた残念な部分というのは、時として強烈な魅力に成り得ます。
そして、そんな残念な魅力を持った女性にすこぶる弱い、私のようなダメな大人もいるのです。
という訳で、今回は、ここ最近私が出逢った残念極まりない愛らしい悪女達を紹介します!

食蜂操祈(しょくほうみさき) from 「とある科学の超電磁砲」(冬川基×鎌池和馬

とある科学の超電磁砲 6―とある魔術の禁書目録外伝 (電撃コミックス)
まずは、『電撃大王』で大好評連載中の「とある科学の超電磁砲」より食蜂操祈です。
以前より拙ブログでも触れている今作は、コミカライズとしても、一つの漫画作品としても秀逸だと思います。
愛と敬意と幸福の結晶!コミカライズ作品のススメ!
誰もが“諦めず”に舞台に立ち続けられるのか? - 「ハックス!」&「とある科学の超電磁砲」
物語は、本編とも強くリンクした“妹達”編が終わり、新章ヘ突入。
アニメではお馴染みだった婚后光子を筆頭に、新たな顔ぶれが登場しています。


その中の一人が、学園都市第5位の超能力者:食蜂操祈です。
園都市最高の精神系能力『心理掌握』(メンタルアウト)を有する彼女。
その能力の幅は広く、ザッと挙げただけでも以下の通りで、「第5位」や「最高の精神系能力」は伊達ではありません。

園都市最強の精神系能力であり、記憶の読心・人格の洗脳・離れた相手と念話・想いの消去・意思の増幅・思考の再現・感情の移植など多種の能力を一手に引き受けて使いこなす

とある魔術の禁書目録の登場人物 - Wikipedia

しかし、特に人の心に干渉する能力は、悪意を持って他人を思い遣る気持ちがない場合は極悪その物。
「洗脳すれば良い」
学内最大の派閥で女王として君臨する彼女からすると、美琴の取り巻き(友達)が増える事は好ましくない。
ならば、自身の洗脳で美琴から寝取り奪ってしまえば良いと、彼女は美琴本人に冗談交じりに言うのです。


加えて、能力の相性の関係で防がれる自身の能力を、去り際混じりに美琴に一撃してのダブル挑発。
いい加減、堪忍袋の緒が切れた美琴が危うく衝突しそうになると、彼女は自身の能力を図書館全体に適用。
全員が駒と人質
図書館内の全員を洗脳下におき、美琴に対する手駒かつ人質として、皮肉と共に美琴を牽制します。
結局、両者に真に戦闘の意思がないので幕引きとなる訳ですが、食蜂操祈の性格の歪みはよく分かるはずです。
美琴からは「相変わらずとびっきり下衆い能力」と評されるのも納得と言った所。

黒川沙羅(くろかわさら) from 「アラクニド」(いふじシンセン×村田真哉

アラクニド(3) (ガンガンコミックスJOKER)
次に、『ガンガンJOKER』で連載中の「アラクニド」より黒川沙羅生徒会長です。
最初の食蜂操祈で、こんな悪女な女王は没落すれば良いのにと思ったかもしれません。
しかし、この黒川沙羅は生徒会長にも関わらず、食蜂操祈など目じゃない悪女っぷりを発揮しています!


表向き、彼女は学園に新しい風をもたらした非常に優秀な生徒会長です。
編入早々に圧倒的人気を獲得して、生徒会長の座に就くと同時に、斬新な政策を次々と実行。
規制緩和を主とする政策にも関わらず、学園は無法地帯と化す所か、むしろ平和になるという夢のような話。
平和のための生贄
言うまでもなく、この夢物語にはカラクリが存在します。
それは自身の部下の肉体を欲望の捌け口として差し出す事による、問題児達の統率。
これだけでも十分に悪女の香りがしますが、更なるマイナスポイントとして、部下は嫌がっている模様です。


組織の目的である主人公:藤井有栖(ふじいありす)抹殺のため、生徒が死傷する事など気にも留めない。
それ所か、一般の生徒を駒として利用するため、自身に付き従う部下の意思は関係なく餌として差し出す。
学園も、学生も、彼女にとっての駒でしかなく、自身は上から見下ろすのみで手を下す事さえしない。
クズに与える禁忌の蜜
そして、勿論、駒達への評価は意志薄弱で協調性の無いクズ共」と言う軽蔑のみ。
まさに悪女・オブ・悪女の名を欲しいままにする事が出来るでしょう。
あまりにも悪女過ぎて、彼女には敗北の未来しか見えない残念さも個人的には魅力的です。
敗北後も改心などする事なく逃走して、組織上層部によって惨めな最期を与えられ、悪女として輝き散って欲しいと思います!

沖野凛花(おきのりんか) from 「オトメドリ」(夏庵)

オトメドリ (メガストアコミックスシリーズ No. 293)
最後は、『コミックメガストアH』で連載されていた「オトメドリ」より妹:沖野凛花です。
食蜂操祈も、生徒会長も、他人を操る=自身の手を汚さない所では共通しているような気がします。
しかし、その点で、この凛花という妹は一線を画していると言って良いでしょう。
彼女は自分の欲望を達成するために、自身の手や体を汚す事も、あらゆる犠牲や不幸を巻き起こす事も厭いません。


彼女の当初の願いは、主人公である兄に愛される事
兄妹という血の関係など気に掛ける事なく、兄に一人の女として愛されたいと願っていました。
けれど、幼少児からずっと、兄が選んでいるのは一つ年上の幼馴染:桜木乙女。
乙女への復讐
その幼少児からの選択は、とある悲劇が起こる事によって、激しい嫉妬と憎悪を彼女に植え付けます。
その結果、表向き、彼女は愛らしいイタズラ好きなお兄ちゃんっ子となって、主人公と乙女の恋路を応援。
二人に見えない裏側では、乙女への復讐と主人公の奪取を叶えるべく、ありとあらゆる手を使って準備を整えて行きます。


さて、この惨劇(=凛花による復讐劇)こそが、今作の要なので敢えて多くを語る事はしません。
ただ、「欲望」や「当初の願い」と書いた通り、彼女の目的は物語終盤の段階で歪み切っています。
兄に愛されたいという一番初めの目的は、乙女への復讐と絶望した兄と思いのままに交わる事へと変化。
最愛の兄…?
最終的には、兄の事が好きなのか、それとも兄を好いている自分自身の事が好きなのか分からない程の妄執を纏います。
彼女自身が積極的に行動して、目的のために自分が汚れて行く事を非としないと言えば、良く聞こえるかもしれません。
でも実際には、誰も彼をも不幸と絶望のドン底へと叩き落とし、最後に自分だけが高笑いして愉悦と幸せを得ようとする
そんな彼女にとって、悪女という言葉は、最高の賛辞だろうと思うのです。



今回紹介した3人は、以前の特集のキャラクター達よりも、更に強い残念さを持っていたと思います。
タイトルや本文中併せて何度も繰り返した通り、まさに悪女。ともすれば、糞野郎と言えるかもしれません。
しかし、私からすれば、その「悪女」や「糞野郎」という蔑称は、愛あっての物となります。


魅力と感じられるかはさておき、彼女達から残念さは十分に伝わったのではないでしょうか?
その残念さにプラスして、彼女達の自身の目的に対する貪欲さ・厭わないダーティさを、私は魅力として挙げたいのです。
闇があって光が輝けるように、これ程までに残念かつダーティな存在がいるからこそ、ヒーローやヒロインの魅力も際立つのではないかと。


また、人間誰しもが常に正々堂々と目標に向かって努力出来る訳ではないと思います。
そして、世の中、才能や能力を正しい方向で使おうと考える善良な心の持ち主ばかりではないはずです。
卑怯な手段や意図的に誤った手段は、現実では決して珍しい事ではなく、彼女達にも少なからず共感を抱く事があるのではないでしょうか?


とは言ったものの、私達の負の側面を反映している親近感や安心感があったとしても、悪女は悪女。
詰まる所、今回紹介した彼女達3人も、作中では敵や憎まれ役を演じています。
それでも、私にとって、彼女達はヒーローやヒロイン同様に魅力的な存在として映るのです。
不肖・葵(あおい)は、これからも残念過ぎる魅力を持った悪女達を応援して行きたいと思います!