男性にとって永遠の謎!女性らしさって何だろう?

突然ながら、男性の皆様、女性を理解できずに怖いと感じた経験はないでしょうか?
女性にしてみれば何とも失礼な話だろうと思いつつも、多くの男性からイエスの返答をもらえると思います。
その恐怖の感じ方は個人個人で異なると思いますが、男性であれば経験した事は一度や二度ではないはずです。


例えば、良き母親に恵まれ、妹が二人いて、元カノがクールな娘でも、女性という存在に謎を抱く時は勿論あります。
更に、あのオトコでも読める少女マンガイケメン少女漫画マイスターいづき氏を以てしても、女性という謎は永遠の課題だそうです。
つまり、現実や漫画の経験を積み重ね続けたとしても、男性にとって女性は永遠のミステリーと言えるのではないでしょうか?


その謎は、時に不可解で理不尽で、男女間の絆を断絶させてしまう事もあるでしょう。
同時に、どこか分かり合えないからこそ、不器用に互いを傷付けながら好き合うという面もあると思います。
と言う訳で、今回は、女性らしさ・女性のホンネを描いた男性にとってのミステリー作品達を紹介します!

「HER」(ヤマシタトモコ

HER (Feelコミックス)
まずは、昨年度の『このマンガがすごい!』オンナ編で栄誉ある一位を獲得した「HER」です。
作者のヤマシタトモコ先生は、「ドントクライ、ガール」も二位に選ばれ、ワン・ツーフィニュシュの快挙を達成。
また、BL作品は勿論、『アフタヌーン』連載の「BUTTER!!」では社交ダンスに懸ける等身大の青春を描く等、多岐に渡って活躍中。


今作は女性向け漫画雑誌『フィールヤング』に連載されていた作品で、6人の女性を巡る群像劇。
それぞれの女性を通して、愛されたいと言う願望,老いて行く事への焦り,母親へのコンプレックス等を綴っています。
女性も認める女性の怖さ
印象深いのは、最終章にて、女性自身が女性への恐怖を吐露していると言う事。
様々な面から女性を切り取った今作の最後で、女性にとっても女性は謎を孕んだ存在であると名言される。
その事実に苦笑いすると共に、どこか安心感を抱いてしまう自分がいます。


一方で、感じ方は異なるかもしれませんが、男女に共通するモノもあると思うのです。
それは例えば、異性への疑問・持たざる者から持つ者への羨望と苛立ち etc.
女性にとっての永遠の謎=男性
結局、異性に対して謎を持つのは男性だけではなく、女性も同じ。
そして、人間である以上、同じ悩みを抱える事もある。
安直ではありますが、共通点があると知る事で、謎だらけだと思っていた女性に何となく親近感が湧いて来るのではないでしょうか?

「あたたかい肩」(雁須磨子

あたたかい肩 (BEAM COMIX) (ビームコミックス)
次に、雁須磨子先生の短編集「あたたかい肩」です。
2002年〜2009年の間に、『コミックビーム』,『Fellows!』,『月刊IKKI』,『マンガ・エロティクス・エフ』等で掲載された短編・中編を収録。
掲載誌の名前をザッと見た時点で、一筋縄ではいかない気配を感じ取った人がいたら、恐らく正解です!
これらの雑誌の持つ色と雁須磨子先生が描く女性達が混ざると、男性にとってはミステリー巨編と言っても差し支えないとさえ思います。


先程、男女には共通点もあるだろうと書きました。
しかし、仮にそうだとしても、雁須磨子先生の作品を読むと女性は永遠の謎に逆戻りします。
伝わらない「でもね…」の続き
むしろ、自分が共通点だと思っていたモノは本当に共通しているのか、自分の判断を疑いたくなる程。
それくらい、少なくとも私にとって、雁須磨子先生の描く女性達は謎に満ち満ちた存在なのです。


そして、その謎は、飾らない日常の女性達が描かれているからだと思います。
激しい感情や一場面を切り取るのではなく、日々の生活における正の面も負の面もありのままに淡々と描く。
女性の目から見える日常
女性を通じて、女性のいる生活が絵になっているような感覚。
時折感じる色っぽさや可愛らしさは、普段の生活で私達男性がドキッとするポイントなのかもしれません。

ファムファタル〜運命の女〜」(シギサワカヤ

ファムファタル~運命の女 3 (電撃コミックス)
最後は、『電撃黒マ王』で昨年完結を迎えた「ファムファタル〜運命の女〜」です。
シギサワカヤ先生は『楽園 Le Paradis』で表紙イラストも担当されているので、拙ブログ訪問者なら目にした事がある人も多いと思います。
タイトルの通り、“ファムファタル”は、赤い糸で結ばれているかのような“運命の女性”という意味です。
しかし、ただの運命の女性ではなく、男性を堕落させる“魔性の女”という意味も秘めています。


掴んだと思えば、いとも簡単に掌から溺れ落ちて行ってしまう女性の心。
言葉や表情が真実とは限らず、体で繋がっても、全てが分かる事なんてない。
でも、気が付けば惹かれる誰かを見付けていて、どうしようもなく引きずり込まれてしまう。
永遠に解けない謎
こう書くと、謎だらけの女性という存在は、男性にとって絶望の象徴のように感じられるかもしれません。
しかし、ハイ君と海老沢さんの物語を見届ければ、その謎は不幸だけでなく幸福も生み出すのだと力強く思えるはずです。


ちなみに、最後まで読むと海老沢さんがただのツンデレに思えてしまう事があります。
偽りのツンデレ
そういう要素はあるかもしれませんが、冷静に考えれば、彼女はもっと複雑な表裏を持った人間です。
それはラストまで読めば当然の事実なのに、恐ろしい事に、ツンデレのように可愛く思えて来る。
この海老沢さんと言うキャラクターは、まさに魔性の女(ファムファタルという呼び名が相応しいでしょう。



今回紹介した作品達で思い出すのは、かつて私の友人(男性)が、私に言って来た事。
彼は、こういった作品に対して、「萌えレディコミ」という総称を提案して来ました。
「萌え」の部分は男性でも読めるという事だと思います。
興味深いのは、「レディコミ」の部分。
彼にとって、今回紹介した作品達は、本来は男性のための作品ではないと感じたようです。


勿論、想定されるターゲットの層はいると思いますが、男性/女性しか読めない作品など有り得ないでしょう。
仮に性別の差で意見が別れる事はあっても、その意見の食い違い(多様性)が、個人的には面白く感じられます。
しかし、そう感じる私も、男性にとって“女性らしさ”が永遠の謎である事には同意します。
また、“女性らしさ”を描いているような気がする作品達が、男性の謎や恐怖の対象になるのも分かるのです。


母親,姉妹,クラスメイト,先輩後輩,友人,恋人,妻 etc.
これ程までに普段の生活で身近にいながら、きっと“女性らしさ”は永遠に謎のまま。
男性にとっての一大ミステリー、足を踏み入れるかどうかはモチロン自由です。
でも、せっかくだから漫画片手に、謎に満ちた未知の世界へ飛び込んでみませんか?