ダメだけどダメじゃない?このダメな大人達が熱い!

さてさて、昨日の拙更新では、人間らしい残念さ憎めないカッコ悪さについて触れました。
[水上悟志][緑のルーペ][やまむらはじめ] 残念だから人間らしい!憎めないカッコ悪い奴等!
物凄くシンプルにまとめると、「人間誰しもダメな所を持っている」という話です。


そんな私達にとって、自分のダメな所を認めてくれる・知って尚愛してくれる人は、神々しく見える事でしょう。
また、自分と同じようにダメな人には、ついつい惹かれてしまうと思います。
つまり、ダメな部分と言うのは、時に強烈な魅力になる事が考えられるのです。


このダメの魅力を具体的に説明しているのが、たまごまごごはんたまごまごさんが書かれた以下のエキサイトレビュー。
「エヴァ」のミサトさんみたいな「ちょっとダメな独身成人女性キャラ」が熱いんですけど何て呼べばいいの?
たまごまごさんは、ダメの魅力の条件として、以下の4つを冒頭で挙げられています。

・なにげにそこそこの年、アラサー。
・やるときはやる
・やらないときはやらない
・ちょっと色々ダメ
心から同意して、握手を求めたくなるくらい的確な条件。
特に、オンとオフのスイッチ切り替えはあるのに「ちょっと色々ダメ」という条件は、とてつもなくダメの魅力を生み出すと思うのです。
と言う訳で、今回は、ダメそうでそこまでダメじゃない少しダメな大人達を魅力たっぷりに描いた作品を紹介します!

敷島 紫乃 from 「紫乃先生〆切前!」(王嶋環

紫乃先生〆切前!(1) (まんがタイムコミックス)
まず、『まんがホーム』連載の「紫乃先生〆切前!」より紫乃先生です。
今作はファミリー4コマ誌連載作品と言う事で、仕事模様や家族関係と言ったホームドラマ的要素がしっかり描かれています。
しかし、この作品の肝は、私的2011年跪きたい駄目姉No.1紫乃先生と断言して間違いないでしょう。


売れっ子の美人作家である紫乃先生は、その見た目と裏腹にダメな大人街道まっしぐら!
ジャージやノーメイクは家なら当然な気がしますが、現実逃避や締切からのリアル逃亡,家事の放棄,実の弟の酷使などなど。
スイッチオフの時の彼女のダメダメさは、彼女に対する周囲の信頼度からも分かります。
この信用のなさ!グゥレイトォ!!
例えば、次回作の構想のために取材に行くと言い出した時の編集者:清野(きよの)さんの返答と理由。
大の大人がこの信用のなさ、実にダメだ…。


では、彼女がやっつけ仕事や美貌のみで現在の名声を得ているのかと言えば、決してそんな事はありません。
仕事には常に全力で打ち込み、そのための勉強を欠かす事もなく、作家としての腕は確かな物。
一度、作家としてのスイッチを入れれば、不条理や窮地を乗り越えて行く信頼に足るプロに変わる。
大人としての姉
いつも理不尽なダメ姉に振り回される実の弟が感心するくらい、オンの彼女は大人なのです。
ちなみに、実は純情な恋する乙女な所も、激しくプラスポイントです。

先生 from 「やさしい教師の躾けかた。」(

やさしい教師の躾けかた。 1 (IDコミックス 4コマKINGSぱれっとコミックス)
次に、『まんが4コマKINGSぱれっと』連載の「やさしい教師の躾けかた。」より先生(本名不明)です。
この単純明快なタイトルと表紙(帯含む)が示す通り、やさしい教師が躾けられる作品である今作。
とは言っても、躾ける(?)のは専ら女子小学生なので、貞操の危機もなくて一般誌連載でも安心!
同時に、女子小学生に躾けられる先生の押され弱さに妄想心配を禁じえません。


尚、正確には、今作に登場する大人達は悉くダメです。
小学生が過剰に大好きな女性教師(独身),面白さ重視&ド変態の校長先生,盗撮も依頼するツンデレな父親(病院長),面と向かって笑顔で先生を「エロイ」と評する住職 etc.
勿論、ダメな面にスポットを当てているとは言えど、絶望的なまでにダメだ…。
ナチュラルにドM
そのダメ大人達の中では一番マトモな気がしなくもない先生ですが、小学生に躾けられる辺り、やはりダメだ…。


ここまでの説明だと、先生がただのナチュラルドMになってしまいそうなので補足。
彼女は、生徒の事を第一に考え、生徒のために行動できる立派な教師です。
また、これだけ押しに弱い性格でありながら、押されてはいけない場面では決して押される事はありません。
貴重な先生の押されないシーン
当然ながら、生徒達を筆頭とした周囲からの人気や人徳は、新米教師とは思えないくらい大した物です。

傘 叶一狼 from 「ヒャッコ」(カトウハルアキ

ヒャッコ 6 (フレックスコミックス)
ここまで女性のみ言及して来ましたが、それでは男性はどうでしょうか?
大分ダメだけれど決める時は決める愛され独身成人男性という存在は許されるのでしょうか?
答えはイエス!少なくとも私は許します!
その一例として、先日最新6巻が発売したばかりの「ヒャッコ」から傘(あまがさ)先生を挙げたいと思います。


傘先生は、主人公:虎子をはじめとした超個性的な生徒達が集う1年6組の担任教師。
年齢は28歳で、所謂アラサー。童貞疑惑あり。独身。
着崩した洋服に無精髭、堂々と校内で喫煙、夏休みはネトゲー三昧等、まさにダメな大人オーラ全開。


彼の特徴の一つは、ノリの良さです。
どのくらいノリが良いかと言うと、体育祭のサバゲー(優勝商品:焼肉)に自ら参加し、チーム名に合った衣装を着て、極付けとして相方にこう言う程。
そしてこのドヤ顔である
ノリノリで自分を“ルパン”と呼ぶよう指示する28歳(独身)。
このキメ顔から漂うダメさ加減…。
自分の父親や上司が同僚や部下相手に同じ事をして、冷静にツッコミを入れられている姿を想像してみましょう。
言葉に出来ない感情が、胸を襲ったと思います。


一方で、問題児達に翻弄されつつも、傘先生も何だかんだ面倒見が良い教師。
労いのご褒美
そして、叱るべき時はきっちりと生徒を叱り、相応の罰を与えています。
そんな彼だから、生徒達から愛され、変わり者だらけのクラスを受け持っていられるのでしょう。



冒頭のたまごまごさんのレビューでも述べられていた通り、今回紹介した3人も常にダメダメな訳ではありません。
やる事をやって、決める所では決めて、立派な大人の面も持ち併せています。
むしろ、周囲からダメと思われながらも、しっかりと大人している分、実は凄いポテンシャルを秘めている可能性もあります。
尚、お気付きの通り、「明日から本気出す」や「まだ本気出してないだけ」はNGワードです。


でも、実際には、いつでもどこでも完璧な大人などいないはず。
程度の差はあれど、ダメな自分を曝け出したり、制御して頑張ったりしているのだと思います。
漫画として強調されている面はあると思いますが、この3人のようなダメな大人達もまた、とても人間らしいと感じられるのです。


尚、偶然にも全員が“先生”と名の付く職業でしたが、二次元の先生がこんなにダメなわけがない!
…と、力強く宣言したかったのですが、少し考えただけでも存外にダメな先生が多かったです。
そんな訳で、この特集、将来的にまさかの第二弾があるかもしれません…?