祝一周年!年3回の“夢見心地”へようこそ! - 『楽園 Le Paradis』第4号

楽園 Le Paradis』、祝!一周年!!
と言う訳で、今回はモチロン『楽園 Le Paradis』第4号の感想。
楽園Le Paradis 第4号
前号と一転して、歴代の表紙絵の中でも最も落ち着いた大人な雰囲気。
帯を捲ると見えるキャッチコピー「夢見心地を始めよう。」は、表紙とも内容ともマッチする良い一言だと思った。

一番の驚き:「想いの欠片」(竹宮ジン)

変わってしまったのは原田兄ではなく、妹:マユの方。
結局、マユが兄を受け入れたら、かつてと変わらない兄がそこにいて―――。
竹宮ジンの描く肯定は、本当に力強くて、自信に満ちていて、清々しさや憧れを抱くなぁ。


こういう全肯定を受けたら、心から相手を信じてみたくなるというもの。
だからこそ、原田兄妹の問題も解決し、一件落着かと思った矢先。

この胸のモヤモヤはお兄ちゃんのせいじゃないと
あたしは まだ気付けずにいた。
マユにラブがコメり出しそう…だと…?


確かに、過去の傷跡はあるにせよ、主人公:ミカは結構達観してしまっていて、原田兄妹編では完全に導く役だった。
だから、マユが、ミカを再び舞台の中央へと導いてくれる事に期待したいかも。
それにしても、ツンデレ妹が実の兄にも姉貴分にもツンデレるとか、考えるだけで胸が熱くなる(笑顔)

一番の感心:「ディアティア」(かずまこを)

言うまでもなく、舌を巻いたのはラスト1ページ。
世界が色付くという表現は、まさしくああいう時のための言葉だろうと。


その感嘆した表現に加えて、内容も思わずガッツポーズ!

どうすればいい?
君の弱った顔を
見たいわけじゃないのに
心ではアレコレ迷っていて、言いたい事やタイミングなんて全然決まっていなかった主人公:成田君。
そこから爆発した想いが、夕焼けの教室で、精一杯の言葉で紡がれた訳で。
もどかしさとニヤニヤが半端ない!!


ちなみに、今回一番の胸キュンポイント。
桐ヶ谷 is over Capacity...
こんな可愛らしい "over capacity" なら常に大歓迎です。

双璧のニヤニヤ:「Spotted Flower」(木尾士目)&「14歳の恋」(水谷フーカ

Spotted Flower」=スポットを当てた一輪の花というタイトルが非常に似合う良いニヤニヤ作品。
若い夫婦を描いた作品と言っても、『アフタヌーン』連載だった「ぢごぷり」は子育てに主眼を置いていたので、かなり違った印象。
恋人から夫婦への変遷期の二人は、長年連れ添った安心感があって、でも初々しい。
大晦日、気まずい沈黙を破って…
持ちつ持たれつ、リードしつつもリードされたくて、実に良い新婚さんの一幕!


一方の「14歳の恋」は、前号から引き続きの嬉しさと今回の内容とでWニヤニヤ。
いざ夏祭り!二人だけの時間!
大人の仮面と子供の心、どちらも14歳という年齢相応で、両方に振り回されて。
「好き」を自覚したばかりで、言いたい事も上手く言葉にできないけど、昔から知っているからこそ繋がり合えるって本当に素敵だと思うんだ。
今後も続いてくれるようであれば、年相応の喧嘩話やクラスメイトにばれそうになってあたふた…なんて展開も見てみたい所!

一番の爽快感:「エンディング」(シギサワカヤ

シギサワカヤ作品の中でも随一の残念女に翻弄されるデキル女のお話。
翻弄された方は消せない傷跡が残ったバッド・エンディングなのに、翻弄した方はハッピー・エンディングを迎えている(であろう)辺りも、ますます残念で個人的にマーベラス


残念女と言っても、丸っきり駄目駄目で、全く相手の事を想っていない訳ではない。
一方、デキル女と言っても、天才や完璧超人ではなく、日々必死に頑張って足掻いている。
この辺りの微妙な人間臭さのバランスが、シギサワカヤ作品の深み・醍醐味なんじゃないかなぁ。


爽快感を得られる実に良い黒シギサワであった。
尚、『楽園』コミックス第7弾となる「誰にも言えない」の発売が11/30に決定。
5本の指に入るくらい大好きな漫画家の一人なので、一年に3冊も単行本が発売は“夢見心地”どころか“夢”のようだ。

次号予告

実は、今回一番驚いたのは、予告の次号ゲスト。
kashmir&志摩時緒
志摩時緒さんは、サークル:scarecrowの方。
ひぐらし,ボカロ,謎の彼女X等の二次創作を描かれていて、最近だと放課後プレイをメインに活動中。
商業誌では、今年初めの『きららフォワード』で読み切り「7時間目の音符」を掲載されていたはず。
今まで読んできた限りだと、『楽園』の雰囲気にもピッタリだと思うので、素直に楽しみ。


そして、今回の『楽園』で最も驚き混乱したのは、もう一人のゲスト:kashmir先生。
正直、どういう内容で来るのか全く予想できず、いち早く掲載を確認したい気分。
名前を拝見した直後に自分の目と知識を疑って、グーグル先生で確認したくらい動揺したのは内緒だ!


その他だと、「kissing number problem」(黒咲練導)が胸キュンだったり、「コレクターズ」(西UKO)はビブリオマニアあるあるで毎回お気に入りだったり。
小惑星ほしに挑む」(あさりよしとお)と「筒井筒」(沙村広明)も、作者らしさ全力全開で読んでいて楽しかったなぁ。


この読了後の満足感や幸福感は、飯田孝編集長が一番最後のページで書いている言葉に繋がるかなと。

(前略)
年3回刊ですので節目らしきものもありませんが、
次の一年、号毎に充実した本を、
読後一層「次号が待ち遠しい」本をお届けいたします。
どうかご期待下さりますよう。
この言葉の通り、より一層の「次号が待ち遠しい」楽園を二年目も期待。
一周年を祝いつつ、これからの更なる躍進に胸をときめかせつつ、本日は締め!