現実でも漫画でも!クールな彼女に惹かれ振り回される幸せ!(ソースは俺)

突然ながら、妄想力想像力豊かな皆様に、イメージして頂きたいと思います。
疲労困憊の帰路、人肌恋しい寒い夜、静まり返った深夜 etc.
そんな時、漫画を読むと、ふとこう思うのではないでしょうか?
「こんな彼女や嫁が欲しい…」と。


しかし、現実は、非常で世知辛い物。
漫画の中の魅力的な属性を持ったキャラクター達は、リアルに存在しない事が大前提。
隣の家に住んでいて毎朝起こしに来てくれて一緒に登校する可愛い幼馴染みは儚い夢幻です。
或いは、存在したとして、漫画だと魅力的なのに現実だと大変残念な事になる可能性が高いです。
ツンデレドジっ娘とのリアルでの遭遇は、往々にして大障害と化すでしょう。


けれども、どんな法則にも例外アリ。
程度の差はあれど、クールな彼女なら現実にも存在すると断言出来ます。
何故なら、ソースは私の元カノだからです!
と言う訳で、今回は、クールな彼女に惹かれ引きずり回される幸せを描いた作品達を紹介したいと思います。

「あまあま」(志摩時緒

一作品目は、本日発売の『楽園 Le Paradis』第5号に掲載の「あまあま」です。
楽園 Le Paradis 第5号
高校受験を間近に控えた中学生カップルの裕司と美咲。
ある日の事後のこと、裕司は美咲から「こーゆーことするの受験が終わるまで無しにしましょう」と提案されます。
「そーいうことを言い出したのは美咲の方なのに」と若干ふてくされる裕司ですが、美咲は美咲なりに思う所があって―――。
この出だしに集約される通り、裕司は、冷静沈着且つ天然な美咲に惹かれ引きずられっ放し


でも、互いに極度の無理を強いる事はありません。飽くまでも二人が出来る範囲内です。
それは、裕司は裕司なりに、美咲は美咲なりに、互いを想ってこその美咲の主導権だから。
全部ひっくるめて好き
引きずられている時に、この言葉を真顔で言われてしまったら、彼氏として引きずられも望む所。
加えて、クールな彼女が照れたり笑ったり甘えたりして来たら、喜びも一入(ひとしお)。
引きずられる裕司に苦笑しつつも、お似合いのカップルだと羨ましく微笑ましく思うのです。


同じく中学・高校生の恋愛模様を描いた『楽園』連載の「14歳の恋」(水谷フーカ)や「ディアティア」(かずまこを)とは、また違ったニヤニヤ胸キュン悶絶の「あまあま」の魅力。
春一番と共に到来した『楽園』は、思春期恋愛の三つ巴の時代に突入したと言えるでしょう。


ちなみに、志摩時緒先生は、一足早く『まんがタイムきららフォワード』で、「7時間目の音符(ノート)」を隔月連載中。
先月の拙感想でも触れた通り、コチラの作品の初々しい恋愛模様の破壊力も凄まじい上、現在の『フォワード』のラブコメ度の高さは折り紙付き。
[カザマアヤミ][志摩時緒][霜月絹鯊] 一足早い春一番!ラブがコメり出す最前線(フォワード)! - 『まんがタイムきららフォワード』
今回の「あまあま」で心を打ち抜かれた方には、来月の『フォワード』も併せてオススメです!

恋愛ラボ」(宮原るり

二作品目は、『まんがタイムスペシャル』で大好評連載中の「恋愛ラボ」。
恋愛ラボ 5 (まんがタイムコミックス)
そもそも、今回の更新は、今作のメインキャラクターの一人:水嶋沙依里(表紙左上・あだ名:サヨ)を見た事がキッカケでした。
率直に言ってしまえば、元カノに内面や雰囲気がソックリだったのです。
つまり、漫画のようなヒロインが現実に存在したのではなく、現実に存在した彼女が漫画の中にいたという事。
宮原るり先生の現実と漫画を融合させる、或いは現実を漫画として描き出す技術には、ひたすら感心させられます。


また、パッと見ると冷静沈着,合理的,守銭奴なサヨを通じて、クールな彼女との交際が実に良く描かれています。
恋愛(ラブ)を研究(ラボ)する今作において、唯一の彼氏持ちな彼女ですが、恋愛に関しても極めてクール。
どのくらいクールかと言えば、既刊5冊の内、彼氏にデレた所が皆無と言っても過言ではないレベルです。


それ程までにクールな彼女の貴重な照れシーンは、彼氏がサヨに惚れた過去話で見る事が出来ます。
サヨの赤面
大人っぽくて、勇敢で、いつも冷静沈着な女子の不意に見せた赤面。
この照れた顔を自分だけが目にしたら、惚れ込んでしまうのも分かってしまうのが困り者です。
現実・漫画共に、クールな子のいつもと異なる表情は、時間を止めて胸を貫く程の威力があります。

恋愛ディストーション」(犬上すくね

最後は、少し前に傑作選が発売された「恋愛ディストーション」。
恋愛ディストーション (サンデーGXコミックス 10YEAR’S CHRONICLE)
大前田 真&緑川 棗・江戸川 陽一&大塚まほの二組+αのカップルの日常を描いた作品です。
自他共に犬と認められる大前田と無意識にグレートブリーダーと評される棗。
飼い主とペットの関係に喩えられる程、二人の主従関係はハッキリしています。


しかし、一度蓋を開けてみれば、その確固たる主従関係は互いへの想いの強さだと感じるのです。
ただのクラスメイトだった棗と別れたくないからと、告白・猛勉強して同じ大学に合格した大前田。
一方の棗はまさかの浪人をしてしまう訳ですが、大前田君は彼女を待ち続け、ここぞという時には福岡に駆け付ける程の忠誠心。
素直な想い
主従関係があるのに、何度も衝突して喧嘩を繰り返すのは、互いに真摯な気持ちをぶつけ合っている証拠。
そんなガンコ者二人が、素直に「好き」で通じ合った時の多幸感は、本人達のみならず読者をも酔わせてくれます。


惜しむらくは、相次ぐ掲載誌休刊の憂き目を見て、長らく休止状態である事。
しかし、恋ディスは滅びぬ!何度でも蘇るさ!」と言わんばかりの光明が、つい最近差し始めてきました。
今月号の『サンデーGX』では、「あいカギ」と「恋愛ディストーション」のクロスオーバーが実現!
月刊 サンデー GX (ジェネックス) 2011年 03月号 [雑誌]
相変わらず喧嘩の最中な大前田&棗。そんな中、棗の心の鍵が開かれて―――。
皆さんのご想像通りの展開かと思いますが、その可愛さたるや想像の遥か上、超弩級です。
ニヤリングの偉い人ビッグ・サクセスな偉い人を唸らせる可愛さ、是非ともご堪能あれ!


そして、更なる朗報として、3月からサンデーGX版「恋愛ディストーション」の順次刊行が決定。
各巻の描き下ろしエピソードに加えて、第2巻と第5巻には未収録エピソードも収録との事。
既に既刊を持っている人、今回のRemixで興味を持った人、これから新しく本作を知る人 etc.
その全員に自信を持ってオススメ出来る一品です!


最後に、モチロン棗だけでなく、残念な女性代表:まほ先生も可愛いです、よ?



彼等全員に共通しているのは、実は互いの事を深く好き合っている事。
大前田君のという呼ばれ方に象徴される通り、彼氏側は彼女に振り回されっ放し。
彼女側も、自分の気持ちに素直になれず、振り回す事が日常になりがち。
でも、それは互いのそういう所を認め、そういう彼氏/彼女が好きだから。
自他共に認める彼女主体は、互いの深い愛情があってこそだと思います。


さて、このようなクールな彼女が現実に存在するという事実は、多くの人の呪詛ガッツポーズを得られるはず。
個人的に唯一の問題点は、元カノを思い出すので、時に読んでいて一抹の痛みを伴う事。
同時に、「元カノと自分のifルート」等の世迷い事を考え始めかねないため、二重の意味で痛いです。
クールな彼女の存在は、自分にとって、まさしく諸刃の剣のラブコメを作る事になるとも言えます。


しかし、こんなに可愛いクールな女性に現実・漫画の両方で巡り会えるのならば、一時の諸刃の剣など些細な事。
いつでもどこでも、クールな彼女に惹かれ振り回される幸せは、言葉に出来ない程です。
その溢れんばかりの幸福を、出逢いの季節の春を前に、まずは今回紹介した珠玉のクールな彼女との恋愛作品達で感じて頂けたらと思います。
以上、独り身の誕生日過去の栄光に縋った更新でした…。