“文学淑女”(黒髪ロング)と陽だまりの書店 - 「ひまわりさん」
突然ですが、皆様、本は好きでしょうか?
拙ブログを訪問して下さっている皆様なら、漫画を中心に本が好きな方も多いと思います。
それでは、本屋さんはどうでしょうか?
通販全盛期のご時世ですが、お気に入りの書店や書店でのコダワリポイントがある方も多いでしょう。
私を含め、そんな本・本屋さん好きの方に強くオススメしたいのが、今回紹介する「ひまわりさん」(菅野マナミ)です。
「ひまわりさん」は『コミックアライブ』連載作品で、今回の単行本発売と合わせて毎号連載が決まりました。
とある学校の目の前にある古くて小さな個人書店:ひまわり書房を舞台に、「ひまわりさん」という相性で親しまれる店長と見習いバイト(?):風祭まつり、そしてお客さんが織り成す様々な本を巡る物語が描かれて行きます。
今作には、参考書,小説,漫画,写真集,児童書,ライトノベル等、色々な本が登場します。
元気の源であったり、プレッシャーであったり、友達との絆であったり、思い出であったり、持ち主によって本は姿を変えます。
しかし、持ち主全員に共通しているのが、「その本が大切だ」・「その本を好きだ」という気持ち。
その想いは、本に興味のなかったまつりが、初めて本に惹き込まれた時の表情に良く表れています。
本を読んでいて目を奪われ輝かせた経験は、多くの人が持っていると思います。
恥ずかしながら、私など未だに漫画を読んでいる時は、こういう目をしている事でしょう。
本が好きだと言う純粋な気持ちが活き活きと描かれている今作は、特に本が好きな人にはキラキラ輝いて見えると思うのです。
また、まつりは、世の中には膨大な量の本があるという事実を“本の商店街”で目の当たりにします。
そこで、彼女はポツリと、ひまわりさんに対して言うのです。
一生掛かっても、全ての本を読み切る事は出来ないと。
それ所か、自分が出逢える本も世界中の本の極々一部でしかないと。
まつりに限らず、本が好きであれば、誰もが一度は直面する問題のはず。
その事実を、初めて現実の事として認識した彼女に、ひまわりさんは微笑み答えるのです。
この言葉は、本好きなら満面の笑みで頷けるのではないでしょうか?
本との出逢いは一期一会で、だからこそ、愛おしくて楽しい。
奇跡のような確率で巡り会えたからこそ、大好きな本が一生の宝物になるのだと。
本に秘められた想いや思い出が、花開いていく。
本を通じて、人の絆が繋がり、輪が広がっていく。
どこか懐かしく、陽だまりのように居心地の良い場所。
ひまわり書房は、まさに夢のような理想の本屋さんだと感じられるのです。
そして、その理想の本屋さんを創り出しているのは、他ならぬひまわりさん。
今作品のタイトルを冠するだけあって、ひまわりさんの魅力は随所で感じられます。
ひまわり書房と本が大好きで、大分マイペースではあるけれど、知的でクールで美しく面倒見が良いお姐さん。
その美しい大人の彼女が、正反対のまつりと関わって行く中で、年相応(?)の可愛らしい面を見せるのも微笑ましいです。
但し、ひまわりさんが美し可愛いのは大前提で、今作品の肝は七瀬委員長だと信じて疑いません。
誰もが認める優秀な委員長でありながら、内面では猜疑心や劣等感に苛まれていた七瀬さん。
しかし、まつりやひまわりさんと出会い、段々と自分を好きになれるように彼女も変わってきています。
やっぱり立派な委員長だけれど、どこか垢抜けず、素直に照れたり笑ったりドヤ顔したり。
等身大の七瀬さんを見ていると、自然と七瀬委員長ペロペロ(^ω^)可愛らしいと思ってしまうのです。
ちなみに、最新の『コミックアライブ』には、今単行本の続き(第9話)が掲載されています。
メディアミックス作品が多い印象がある『コミックアライブ』ですが、メディアミックスは勿論、オリジナルでも色々なジャンルの良い作品があります。
例えば「断裁分離のクライムエッジ」(緋鍵龍彦)で燃え悶えたり、「数学ガール ゲーデルの不完全性定理」(茉崎ミユキ×結城浩)で胸キュンしたり、「ささめきこと」(いけだたかし)で胸を痛めたり、「僕は友達が少ない」(いたち×平坂読)を若干羨ましがったり、「ディーふらぐ!」(春野友矢)や「デイドリームネイション」(Kashmir)で笑ったり、「のんのんびより」(あっと)で何となく和んだり…と、盛り沢山です。
めでたく「ひまわりさん」の毎月連載も決まったので、今単行本で興味を持った方は『コミックアライブ』も併せてどうぞ!