一足早い春一番!ラブがコメり出す最前線(フォワード)! - 『まんがタイムきららフォワード』

まんがタイムきららフォワード』という雑誌があります。
芳文社発行の月刊誌で、所謂萌え4コマで有名な“まんがタイムきらら”シリーズの中の一誌です。
まんがタイムきららフォワード 2011年 03月号 [雑誌]
しかし、この『フォワード』は、他のきらら3誌とは内容で一線を画していると言えます。
何故なら、本誌は4コマ誌ではなく、ストーリー漫画誌だからです。
そして、ストーリー漫画の王道テーマの一つと言えば、夢と浪漫溢れる冒険活劇ではないでしょうか?


今だと夢喰いメリー」(牛木義隆が一番旬&皆がイメージしやすいと思います。
夢喰いメリー (6) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
メリーさんペロペロ(^ω^)ジョン×夢路(ジョン夢)と言うオトナの夢と浪漫も溢れている本作。
けれど、やはり「夢喰いメリー」の本質は、少年漫画的な冒険活劇だと思うのです。
夢路やメリーを中心としたキャラクター達が日常と非日常を共に歩み、互いを想い合う事で絆を強め、不可能を可能にして行く。
そんな熱を帯びた姿を見ていると、恥ずかしながら、時に涙しそうになると言うもの。
本作と併せて、先日最終回を迎えたS線上のテナ」(岬下部せすなは、『フォワード』の伝統的な二大冒険活劇でした。
また、連載が始まって間もない「ハナレビの楽園」(水本正「Dead or Live!」(結城えいしも、冒険活劇の系譜を感じさせます。


また、ストーリー漫画において成長も王道テーマの一つであり、『フォワード』連載作品にも多く見られます。
昨年完結を迎えたなきむしステップ」(カザマアヤミ純真ミラクル100%」(秋★枝
現在も好評連載中の少女素数」(長月みそかキスメグルセカイ」(ジェームスほたて
どの作品も恋愛の要素がありつつ、進路や仕事や目標等、自分の将来に向かって進んで行く様子が核になっていると思うのです。
今を精一杯生き、時に必死に足掻く若者にとって、恋愛も将来の事も同じくらい大切なモノ。
同時に、どちらも未知の世界であり、不安に苛まれる事もあるでしょう。
だからこそ、それらを叶えた時、人間的に成長して大人に一歩近付けるのだと思います。


さて、ここまでは、冒険活劇成長という双璧をなす王道テーマを持つ作品を紹介してきました。
しかし、昨年末頃からの新連載攻勢によって、『フォワード』には新たな風が吹いてきたように感じています。
一足早い春一番とでも呼ぶべき作品達。つまり、ラブはじまってます!

となりの柏木さん」(霜月絹鯊

となりの柏木さん (2) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
現在第2巻まで発売中、お絵描き系SNS(pixivをイメージすると良いと思います)から始まった青春ラブコメ
二次元にしか興味のなかった主人公:桜庭君が、初めて興味を抱いたクラスメイト:柏木さん。オタク嫌いらしい柏木さんだけれど、実は彼女は、桜庭君が憧れる絵師:sayaneでもあって―――。
今作では、趣味と秘密を共有出来る理想の安心感が、とても良く描かれています。
更に、桜庭君にとっては自分の憧れだった人が彼女に近い存在、柏木さんにとっては自分を応援してくれている人が彼氏に近い存在。
お互いが、お互いの頑張る糧になる事が出来る幸せも、十二分に感じられるのです。
仲直りの握手
同時に、秘密を共有する近い存在だからこそ、誤解や不協和音が生じてしまう事もあるのが世の常。
でも、オタク的若気の至りを(主に桜庭君が)繰り返して仲を深めていく二人を見ていると、やっぱり胸がホッコリします。

「せなかぐらし」(カザマアヤミ

先程紹介した「なきむしステップ」の作者であり、現在は『ガンガンJOKER』ではつきあいを大好評連載中のカザマアヤミ先生が、満を持して『フォワード』に帰還!
夏休みの間だけ、念願の一人暮らしが許可された主人公:綿見 巡。
けれど、待望の一人暮らし先は隣の部屋との境が磨りガラス一枚、更に隣人は美少女:飴原 華奈で―――。
そんなトンデモドリーム設定から幕を開ける二人の初めての一人暮らし。
巡と華奈
パンツマンこと巡の自業自得な所も多分にありますが、当然、今は未だ二人の仲は前途多難。
但し、夏は男女を大胆に大人にさせる季節と二次元では決まっているので、いずれ一夏のアバンチュールが始まる事は必然と言えるでしょう。
“せなか”を向け合って“くらし”始めた二人が、磨りガラス一枚という絶妙な距離感でどうなって行くのか?
気になって夜も眠れず、寒空の下で私の心も夏模様です。

「7時間目の音符(ノート)」(志摩時緒

今までの2作品は、これからラブがコメって行く未来形の物語でした。
しかし、本作は、既に交際がスタートしている現在進行形のラブコメリング展開。
吹奏楽部員の主人公(後輩):葉平と頼れる部長(先輩):あずみは、部内でも公認の初々しい歳の差カップル。
第1話では、“彼女が彼氏のネクタイを持ったり付けたり”という学校内の流行に乗って、葉平があざみにネクタイを結んであげました。
そして、第2話、二人は備品の買出しのため、週末に一緒にお出掛け。しかし、初めてのデートではないのに、何故か互いに空回りしてしまって―――。
デートの合間の痴話喧嘩
互いに好きだからこそ、力が入りすぎて意識しすぎて、生じてしまった些細な感情のもつれ。
それが爆発した時の痴話喧嘩と、誤解が解けて素直に気持ちを伝え合った時の仲直りと、自分の若かりし日を思い出して言いようのない感情に悶える程の匠の技です。


けれど、極上のラブコメは、時に劇薬。過剰摂取は、今の自分を振り返り、胸が悲しみで満ちるというもの。
かく言う私も、彼等の幸せを願ってイチャ付きで身悶えしつつ、心の目からは汗が流れています。
そんな荒んだ心は、「麻宮さんの妹」(あさのトランジスタティーセット〜電気街路図〜」(里好で癒せると言う見事な安心設計。
馴染み深い風景や場所でも、視点や姿勢を変えれば、こんなにも発見に満ちているのかと感心させられます。
心がどこか遠くに行けるような、まるで旅行をしているかのような幸せを感じる事が出来るでしょう。
つまり、後顧の憂いなく、思う存分ニヤニヤ赤面胸キュンしながら身悶えても大丈夫!


現在の『フォワード』は、まさにラブがコメり出す最前線フォワードとなっています!
初となるアニメ化が「夢喰いメリー」によって果たされた今、掲載作品的にも『フォワード』は絶好調。
今月号では話題沸騰中のTVA「魔法少女まどか★マギカ」のスピンオフ作品魔法少女かずみ★マギカ〜The innocent malice〜」(天杉貴志×平松正樹×Magica Quartet)の連載も始まり、更なる追い風を纏ったと言えるでしょう。
2011年は、一足早い春の訪れを告げた『フォワード』が躍進する年になる事を願っています!