止める「変わらない」意思と止められる「変えられない」意思 - ヤングキングアワーズ7月号:惑星のさみだれ第62話「惑星のさみだれ・3」
※水上悟志「惑星のさみだれ」ヤングキングアワーズ最新7月号掲載分ネタバレありにつき、一応伏せ。
まず、「止める」と「止められる」から。
今月号で静かに熱いと感心したのが、以下の三日月の台詞。
ゆーくんは…姫を止めた後どうすんだよ…注目すべきは、太字部分の前。
姫はゆーくんに止められた後どうすんだよ…
俺には…何も…できねえのかよ…!!
「止められたら…」や「止められても…」ではなく、「止めた後」と「止められた後」という断定形。
つまり、三日月は夕日がさみだれを止めるという事を確信しているのではないかなぁと。
止められないという心配や疑いはなく、夕日が三日月を止める前提で、今後の夕日とさみだれの事を考えている。
信じていると言う言葉はないけれど、まさしくそういう事じゃないだろうかと読み返して胸熱だった。
次に、「変わらない」意思(=夕日)と「変えられない」意思(=さみだれ)について。
夕日とさみだれの対比が、“空”で対峙した二人の言葉から読み取れる。
時は止まらないさみだれにとって、意思は「変えられない」もの。
意思も変えられない
だから全て今日
終わらせる!!
その事は、今月号でアニマが獣の騎士団に明かしたさみだれの真実に加えて、先月号の「あたしにももう止められへんあたし」という台詞からも伺える。
1巻の頃からさみだれの願いは一貫して変わっていない。
でも、正しくは、新たな願いを持ちたくても=意思を変えたくても、彼女にはそうする事ができない。
君が好きだ一方、夕日にとって、意思は「変わらない」もの。
君を背負いたい
意思は変わらない
あの時から
ぼくが※
『さみだれと共にいる』と言う真の願いは変わっていないけれど、かつてと今では願いへ至る道筋・願いの意味が全く異なるはず。
夕日は「変えられる」意思と「変わらない」意思の両方を掴んだのだと思う。
アニマの言葉を借りるならば、互いに「幸福」と「世界もまた自分を愛してくれる」という事実を知った二人。
ただ、結果として、選んだ道は真逆。
だからこそ、「だから雨宮夕日なのだ。彼が彼女には必要なのだ」と言う言葉がアニマから紡がれたのだろうなぁと。
また、その二人に、「幸福」と「世界もまた自分を愛してくれる」という事実を教えた獣の騎士団。
この場にいない故人もいるけれど、彼等の意思もしっかりと受け継がれている。
だからこそ、確かな答えは分からないけれど、さみだれを共に背負いたくて、さみだれの事がもっと知りたくて、一分一秒でも皆で一緒にいたくて、夕日に託した。
そして、夕日は、さみだれより高く飛んだ。
まさしく、このアニマの言葉に全てが集約されていると思う。
…獣の騎士団…アニマと同じように感謝して、今回の感想を締め!
ありがとう
あの子と出会ってくれて
※夕日の台詞の最後の部分は、意図的に削り。言葉だけでなく、是非とも描写も含めてページを捲って見てもらいたい。
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