当事者達に大切なこと―SNOWDAY'S DREAMERS

光陰矢の如しとは良く言ったもので、気付けば春も間近な今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか?
自分はと言えば、今週末でようやくネットや趣味にも復帰の目処が立ちかけて来た所です。



という訳で、結論から申し上げますと、急ピッチでモリモリ進めております!
WHITE ALBUM2(「introductory chapter」+「closing chapter」セット版)
ホワルバ2、こと「WHITE ALBUM2」を!!
本作は序章(introductory chapter)と終章(closing chapter)の二部構成(?)になっており、
自分は序章関係の諸々を終え、いざ終章なイマココ!


この「WHITE ALBUM2」は自分が説明するまでもなく、一定以上の知名度はあるのではないかなと。
Leafという老舗ブランドや「WHITE ALBUM」という往年の名作タイトルによる知名度はモチロン、
昨年末の終章発売直後には、随分と話題になったらしいという噂も耳にしております。


自分にとっては数年振りの成年ゲーム且つノベルゲーム(?)なので新鮮だったり懐かしかったり。
特に演出面の進化はオドロキの連続で、うっかりパソコンのスペックが危うい…!
同時に懐かしさとセットで、肉体の衰え・体力の低下もひしひしと…。
ともあれ、それだけ落ちぶれた老体を一気に惹き込み夢中にさせるテキストは、匠の技と呼ぶに相応しいでしょう。


そして序章の感想を一言で表すように言われたら、自分はこう言います。
キャラクター達にとって、本当に尊い、良い経験だった、と。
自分自身がこういった物語を大好きなので、暗雲や澱みが立ち込める度に絶頂寸前
なるほど、アヘ顔ダブルピースってこういう風に堕ちていくのかと悟りかけました。
ともあれ、作中のキャラクター達にとっても、この序章の物語は掛け替えのないプラスの経験だと何度も思った次第。


そもそもホワルバ2をプレイしてみて、ゲームで連想したのは個人的心の名作「天使のいない12月
天使のいない12月 DVD-ROM版
自分がホワルバ2をプレイする事を決めたのも、悪い大人達に
「天いなが大好きな葵君なら、ホワルバ2にも陥落(おち)る」
と洗脳…もとい、勧められたため。
同じLeafの作品という関連性がどこまであるかは分かりませぬが、確かに真っ逆さまに陥落ています。
どちらか一方が好きなら、もう一方も是非オススメですな!(洗脳完了の目)


でも漫画で連想したのは、実ははやて×ブレード」(林家志弦なのです。
はやて×ブレード 1 (ヤングジャンプコミックス)
冬の拙新刊『楽園に花束を』でも少々触れましたが、林家志弦先生、ひいては「はブ」と言えばおバカの達人!
破天荒で明るい「はブ」のどこに、暗く重い三角関係の「ホワルバ2」的要素が…と戸惑う方も多いでしょう。


「はブ」の魅力と言えば、友情という言葉だけでは語れない様々な人間関係が織り成す燃えや萌えのドラマ with バカ
つまり読み応えタップリ、でもそれでいて読み易い with バカというヒジョーに優れたバランス感覚。
このバランス感覚こそが、自分が感じた共通点になります。


以前「はブ」を特集した際、こんな事を書きました。
[ざら][中村哲也][林家志弦] サクラサク!新生活へ送るエールと元気と喝!

“好き”や“楽しい”という気持ちを裏切らなければ、辿り着けない境地があるのか?
どれだけ努力を重ねても、次元の違う完璧な存在には一片足りとも追い付けないのか?
物語至上最大級の熱を帯びた頂上決戦、敗者は己の全てを失う一幕での明確な答えは存在しないドシリアスな問い。
「はブ」という作品のオモシロイ所は、最適解や解決策ではなく、当人達の納得や当人達なりの答えがキーになる事。
林家志弦『はやて×ブレード 15』集英社, 2011, p.24
この問いも、玲(あきら)と紗枝(さえ)個人の諦念めいた納得が鍵となって、事態は劇的に収束の方向へ。
挙句には「思い返せば自分達だけシリアス背負った気になって バカって言うか寒い?」と、
振り返って恥ずかしながら言えるようにまでなります。


つまり、当事者(と読者)達からシリアスに見えていた問いは、当事者達以外には実は大した事はない。
当事者達の未熟さから実態以上に絶望的に大きく見えてしまっているけれど、
当事者達が納得したり、自分なりの答えを見付けたりするだけで、
実はそこまでの難敵でもなかったという当事者以外の視点が見えてくる。


序章のみを見た場合のホワルバ2は、自分にとってまさにこう思えるのです。
序章の2周目に追加される、あの瞬間、あの選択の裏側。
おまけ要素の過去と現在を繋ぐサウンドノベル『雪が解け、そして雪が降るまで』
「もしも、あの時、別の選択をしていたら…?」という稚気じみた夢を描いた書き下ろしノベル『Twinkle Snow 〜夢想〜』


三角関係の当事者達の苦悩・絶望、
忘れられない過去、拭い切れない罪、
彼等を取り巻く周囲の葛藤、制御しきれない人の心。
そのどれもが、メイン3人を、ひいては周囲のサブキャラ達をも苛み続ける。


でも、もしかしたら全ては当事者達以外の視点で見ると、そこまで大した事ではないのかもしれない。
序章の彼等ならば若気の至りの範疇かもしれないし、ここまでの濃度ではないにせよ
誰にでも起こり得る経験をフルコースで体験できたのかもしれない。
――少し傷ついて、治るのを待って、また少し傷ついて…
   そんなことを繰り返しながら、少しずつ大人になっていこう。
丸戸史明『Twinkle Snow 〜夢想〜』株式会社アクアプラス,2011,p.121)
成長するに連れて、世界が開けるに連れて、舞台の当事者になって傷つく事も増えていく。
モチロン傷つかないに越した事はないけれど、傷つく事も悪い事ではないと思うのです。
苦しいからこそ、痛いからこそ、自分なりに得られるものもあるだろうと。
そして自分なりに得られたもので、傷の痛みは案外目立たくなって、気付けばまた世界(当事者達以外の視点)が広がって、
甘くほろ苦く、どこか愛しい思い出や笑い飛ばせるような過去になっていく。


そんな当事者達に(は)大切なこととしての物語を、ホワルバ2と「はブ」から感じたのでした。
とは言え、彼等の若き日々を描いた序章だけでも1つの物語としてキレイにまとまっているからこその感想で、
彼等の物語は終章、即ち大人になるまで続くため、容易く古傷として過去のものにはできそうもないですが!
暗雲が立ち込め過ぎていて、心からの滾りを抑え切れそうにありませんな!!(満面の笑み)


以上、Q.G.K.(急に ゴルゴ31氏から 感想を書くべきという電波が届いたので)の提供でお送りしました。
結論としては、今更自分が言う事ではないかもしれませんが、WHITE ALBUM2」オススメどぇす!!