罪を背負うから美しい!ファム・ファタール系ヒロイン!

つい先日、Landreaall」(おがきちか最新20巻が発売となりました。
Landreaall 20巻 限定版 (ZERO-SUMコミックス)
Landreaall」(ランドリオール・略してランドリとも)は、『コミックZERO-SUM』で連載中のファンタジー作品。
緻密な各キャラクターや世界観、細やかな伏線の数々が織り成す物語は重厚濃密。
一度ハマるとグイグイと惹き込まれ、巻を追う事に深まる物語からは目が離せません。


祝20巻では、今まで点で明かされてきていた情報が一本の線で繋がった怒涛の展開もあり、興奮も一入。
その中で、ヒロイン枠と思われる●1ミステリアスな女性ディア(メイアンディア)についても、色々と見えてきました。
そこにsoorce氏の興味深い予想が、目に入って来たのです。

soorce ランドリオール20巻、限定版の方買えた。この巻までの話読むと、大老(ファラオン卿)が前王を狂わせたとも読める。メイアンディアの家系の「他人を壊せる」天恵と「今までのままでは王になれなかった」大老の野望との組み合わせがあれを作った可能性が。 link
まず、この可能性が考えられるのは同意です。
元々ディアが大老や円卓、議会に関わる重要機密に関わっていた様子は以前も描かれていました。
また、彼女の(家系の)天恵●2が人の記憶に関係し、他人を壊せる程に強力な事も示唆されています。
上記の野望を仮定すると、王を失墜させ自らの地位を確固たるものにする方法としては、十分にアリだと思います。


もしそうだとすると、ディアは少なくとも●32つの罪を背負っている可能性も出てきます。
一つは、前王を狂わせた(事に加担した)と思われる罪。●4
もう一つは、大老(将来の王有力者)の婚約者であるために、主人公を苦しめ続けるであろう罪。


ここまで考えた時、今までヒロイン(?)として可愛らしく見てきたメイアンディアに脳内で新たな魅力が追加されました。
可愛らしいヒロインの魅力も然る事ながら、麗しいファム・ファタールとしての魅力です。


そもそも「ファム・ファタール」とは、直訳すると「運命の女性」
但し実際には、最終的に男性に破滅をもたらす魔性の女性、の意味合いがしばしば含まれます。
ファム・ファタール - Wikipedia
その特性から、所謂バッドエンドや後味の悪い物語、もつれたり破綻へ向かったりする人間関係の中に存在する事の多いファム・ファタール
すると、そういったものが大好きな自分は当然ながら、そんなファム・ファタール系ヒロインも大好物な訳です。


例えば、個人的心の名作天使のいない12月やエロゲの世界に帰ってくるくらいにドハマリしたWHITE ALBUM2
どちらのLeaf作品にも、ファム・ファタール系(サブ)ヒロインが存在します。
天使のいない12月 DVD-ROM版WHITE ALBUM2(「introductory chapter」+「closing chapter」セット版)
極々簡単にまとめると、どちらのサブヒロインも(己の目的のために)主人公を利用します。
片や周到深く準備を重ね、意識的に、けれど主として短期間で。
片や偶然、意識的の皮をかぶった無意識で、永遠に囚えて離さない。
そうした違いはあれど、いずれの場合も主人公やその周囲に、恐らく致命的な不幸●5を招く結果となっているはずです。


それでも、サブヒロインという事もあり、この2作品はファム・ファタールと何等かの関係性が続いていく確率も高いです。●6
しかし、世の中には台風のように突然現れ、幸福と破滅を呼んで跡形もなく消えていくファム・ファタールも存在します。
そんなヒロインと彼女を取り巻く(巻き込まれる)人達を描いているのが「蜜ノ味」(元町夏央です。
蜜ノ味 (Feelコミックス)
「あねおと」等々の過去作品でも感じられた乾いた空気の中で、幸福も破滅も淡々と綴られていく。
本人の細やかな願いが生み出した、周囲からは得体の知れないヒロインの歩みには、ファム・ファタールかくあるべしとウットリします。


そもそも、人は他人と繋がり生きていく上で何らかの罪を重ねていく事は避けられないと思うのです。
罪と言うと重苦しい響きですが、例えば若さ故の過ち・後悔して止まない失敗は多くの人が抱えているものかなと。
大小・意識無意識の差はあれど、罪は皆に等しくあるもので、珍しいものではない。
なればこそ、鮮烈な罪を自らの手で下し、背負っていく人間には憧れます。


そして、彼女達が結果的に悪女なのは否定できませんが、物語途中までは男性側も幸せを存分に得ています。
ただ楽しい嬉しいと言う気持ちだけに留まらず、物質的・肉体的な恩恵を得ている場合も十分あるでしょう。
その幸せは彼女達と出逢わなければ一片も得る事なく、むしろ彼女達無しでは無味乾燥とした日々が続くだけだったかもしれない。
もっと言ってしまえば、彼女達と出逢わなかった場合にも同じくらい、或いはそれ以上に不幸になっていたかもしれません。


つまり、ファム・ファタールは必ずしも不幸を招く存在ではなく、むしろ一定期間は無上の幸福も約束される。
そう考えると、期間限定で条件付きとは言えど、彼女達は幸福の女神でもあるのではないかなと。
不幸も幸福も生み出す事のできる絶対的な力強さは、純粋に惹かれる所です。


ちなみに、以前も「女性らしさ」という切り口で、ファム・ファタールには触れています。
[雁須磨子][シギサワカヤ][ヤマシタトモコ] 男性にとって永遠の謎!女性らしさって何だろう?
男性版で「オム・ファタール」という言葉もありますが、もしかしたら異なる存在だからこそ惹かれているのかもしれません。
しかも異なる上に、奥深くまで見えない謎多き存在からこそ、たとえ破滅を呼ぶと分かっていても相手に溺れて抜け出せない。
すると運命の相手に縋る様は、実は凄く人間臭い、愛おしい関係性(の一つの形)のような気もしてきます。


今後とも、ファム・ファタールに出逢い、心を奪われる事を願って止みません。
余談ながら、その物ズバリのタイトルファムファタル〜運命の女〜」(シギサワカヤという作品も存在します。
ファムファタル~運命の女 1 (電撃コミックス)
上記の記事でも触れているのですが、こうして見てみるとこのファム・ファタールは優しい気がしないでも……ない?

●1
物語の構造上、ディアが所謂ヒロイン枠/候補と明言するのは難しい気がするので、ちょっと弱めな表現で。


●2
所謂、固有スキルや固有能力。
但し、その家に生まれたからといって必ず発現するものではなく、強さも個人によった……はず。


●3
細かく考えていけば、前王が狂気に飲まれた事による被害はマクロ・ミクロ両方のレベルで相当多いので、2つでは全く足りないかとも思います。


●4
ちなみにディア本人ではなく、ディアの家系が加担していたとしても、その過去を知りつつ生きる事はディアを苛むのではないかなと。


●5
或いは、見方によっては転機や解放、救済とも言えると思います。


●6
ヒロインとしてのルートとサブキャラとしてのルートでも異なる上、ヒロインとしてのルートでも分岐する場合もあり、彼女達との関係性は複数存在します。

ラブコメと「あまあま」な肉体関係、或いは小野寺さんは自力優勝の夢を見るか?

突然ながら、ラブコメを読んでいるとふと思う事がありまして。
端的に言えば、もっと肉体関係を持てば良いのになぁと。
更に言うと、もっと身体を使って籠絡すれば良いのになぁと。


これだけだと、なら成年漫画を読め、と総ツッコミ状態かと思います。
モチロン、成年漫画は成年漫画で好きなのですが、そうではなく。
自分は、若々しい一般向けラブコメだからこそ、肉体関係も見てみたくなるのです。
その上で、個人的嗜好として、愛憎入り交じった籠絡なら尚良いなと!


と言うのも、例えば「ひとりみ葉月さんと。」(カザマアヤミ)のような成人が主役のラブコメも勿論あります。
ひとりみ葉月さんと。(1) (ガンガンコミックスJOKER)
が、ラブコメと言うと学園物、特に中高生が主人公の作品が多い……ような気がします。●1
その場合、掲載誌も少年(?)誌が多くなり●2当然ながら描ける性的コンテンツには限界があるはずです。
身も蓋も無い言い方をすれば、特に現在だと、肉体関係はそうそうお目にかかれないだろうなと。


無論、自分はラッキースケベも大好物で、子供・大人問わず大切な存在だと思っています。
ジャンプSQ』の「To LOVEる ダークネス」(矢吹健太朗×長谷見沙貴)を読んだ時など、割と拍手喝采状態です。
To LOVEる -とらぶる- ダークネス (1) (ジャンプコミックス)
しかし、ブコメを読んでいて、ラッキースケベを望む気持ち・性的まぐわいを望む気持ちの両方が存在する。
そうすると、ラッキースケベが満たされれば満たされる程、性的まぐわいへの渇望も強くなっていく。


そんな自分にとって、楽園 Le Paradis』の「あまあま」(志摩時緒)は極上の逸品。●3
あまあま
ベテランカップルの祐司と美咲、付き合い始めたばかりの高梨君と神崎さん、2組のカップルによる「あまあま」な日々を綴った本作。
ベテランな裕司と美咲は、美咲の積極性と裕司の包容力もあり、呼吸をするように自然とまぐわう。
その関係は、ラブコメで性的まぐわいを見たい自分の渇望を満たすと同時に、若さを感じるという意味で羨ましくもあります。


真面目な話、心も体も繋がれるって凄く素敵で、とっても幸せな事ではないかと思うのです。
更に、その幸せ(の一つの形)を享受できる関係なのに、体では繋がれるのに、心がすれ違う時もある。
そうした心の機微にも肉体関係は彩りを加えてくれるので、上記の愛憎もそういう意図(と個人的嗜好)で挙げています。
「あまあま」最新話が掲載される『楽園 Le Paradis』最新9号は、今週末発売なのでヒジョーに楽しみです。


念のために書いておくと、性的まぐわい・肉体関係があった方がリアルだと言いたいのではありません。
ましてや、中高生のお付き合いでも(だから?)、性的な肉体関係も包み隠さず描くべきだなんて滅相もなく。
そうではなく、基本的には描かれる事が叶わないものだからこそ、焦がれ憧れているというのも大きいと思います。
ある意味、パンチラやチラリズムに通じる、ピュアな少年の願いなのかもなと。


詰まる所、ニセコイ」(古味直志)の小野寺さんの18禁ルートが読みたいと!
ニセコイ 2 (ジャンプコミックス)
自分も鬼ではない(?)ので、小野寺さん魔性の女化からのリードでなくとも良いのです。●4
籠絡しようと一大決心後、不発からの初々しいまぐあいなど、胸が温まりつつ幸せで満ちていく事間違いなし。
(あとは真面目に、小野寺さん自力優勝の道は肉体を使っての籠絡くらいしかもう見えないような……●5 ●6


ニセコイ」は7/4に第2巻8/3に第3巻が発売なので、この夏は一層昂ぶっていきたい所。
そして「ニセコイ」に限らず、「パジャマな彼女。」(濱田浩輔)や「恋染紅葉」(ミウラタダヒロ×坂本次郎)でも初々若々しい肉体関係が見られたらイイナ!●7
パジャマな彼女。 1 (ジャンプコミックス)
そんなに言うなら(成年漫画ではなく)エロ同人を読め、というツッコミはあるかと思います。
言うまでもなく、こういう考え方・嗜好の持ち主なのでエロ同人に胸を高鳴らせる時もあるのは事実です。


ただ、自分は叶わないと実際には理解しつつ、今回のような夢を本家に見る事も止まないのです。
ないとは言い切れない可能性、そこから派生する様々な展開(妄想)、キャラクターの他の現在や未来も見てみたいと。
本当は、肉体関係その物ではなく、そこから生まれる感情や関係を眺めたいのかもとも思います。


まぁ一言でまとめれば、この夏、肉体関係でライバルに差(?)を付けよう!
そんなラブコメの存在を心から応援しています!!



●1
ここでは取り敢えず、少女漫画やレディース作品を除いて考えます。


●2
とは言え、少年誌・青年誌のどちらにも分類が難しい雑誌・雑誌内でも幅がある場合もありますが、ひとまず例外扱いで。


●3
但し、『楽園 Le Paradis』はモチロン少年漫画誌ではなく、むしろ「分類が難しい雑誌」の代表例な気さえしますが。


●4
モチロンそういう展開もバッチコイの大歓迎ですが!


●5
言うまでもなく、自分は小野寺さんも(千棘も)好きです。が、両方同じくらい好きなら、二次元・三次元問わず3Pで良いじゃないかと思うのです(真顔)


●6
最新の『週刊少年ジャンプ』をまだ読めていないので、最新話と矛盾する内容があった場合はご容赦の程を。
まぁ、個人的には矛盾してくれる(=小野寺さんの性的まぐわいがある)事も力強く願っていきたいですが!


●7
肉体関係や性的まぐわいが見られるのならば、パコさん再臨だって辞さない。
とは言え、自分はパコさんも(確かに世で言われている改善点はあれど)割とアリだった派です。

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続・続く「げんしけん」!“もう少し下の世代”から見てみると?

という訳で、今回は月刊アフタヌーン』で連載中の「げんしけん二代目」(木尾士目の話を。●1
げんしけん 二代目の壱(10) (アフタヌーンKC)
キッカケは、この記事を読んだこと。
げんしけん二代目はリアルなオタクを描いているんだろうか? (via ゴルゴ31)
やっぱり「げんしけん」話は面白い、というのが率直な感想!
この記事は、以下●2のように締め括られている。尚、ヘタレヒロイン斑目さん萌え。

げんしけん二代目は(今現在の)オタクをリアルに描いたとは言えない。にも関わらず、誌面での扱いを見ると作品の人気自体はかなり高いようだ。

個人的な意見だけれど、二代目はアフタヌーンの読者が30代だからこそ人気があるんじゃないかという気がする。この世代が若い頃に経験した(もしくは、こういう世界を経験したかったという願望)オタクライフそのままの世界が展開されている、だからこそ人気が持続しているんじゃないか、と思う。

逆にもう少し下の世代、10代や20代前半ぐらいの層にはこの作品はどう見えるんだろうか、それがちょっと聞いてみたい気はする。

という訳で、20代前半の自分は「げんしけん二代目」をどう感じて楽しんでいるのか書いてみようかなと思ったのでした。

さて、上記の記事ではげんしけん二代目」は「オタクのリアルな生き様を描いていない」と書かれている(はず)。
例えば、ボーカロイドyoutubeニコニコ動画●3、pixiv、2chまとめブログ、SNS等々。
そうした、今の(特に若い)オタクなら多少なりとも造詣を持っているであろう物が描かれていないから、と。


実は、こうした比較的新しい物が描かれていない、という点には個人的にも完全に同意。
女性オタクという要素は追加されたのかなと思いつつ、相変わらずネット関係(?)は殆ど影も形も見えない本作。●4
この点から見ると、二代目が「全然変わってない。驚くほど初代と内容が変わっていなかった」というのも分かる話で。


勿論、作者の木尾先生の意図や思惑は自分には分からないけれど、
意識的・無意識的に関わらず、少なくとも「げんしけん」という作品では
ネット関係の諸々は描かないようにしているのではと、自分も読みながら思っております。


ただ、そうした外部的な(?)要素ではなく内部的な要素で、初代と二代目は随分と違う気もしているという話を少々。
特に、そう感じているのは自分の年齢も大きく関係しているのではないかなぁと。

内部的な要素って何ぞやという話になると、一言で言えば(自分が感じる)居心地の良さの差
個人的には、初代よりも二代目の「げんしけん」の方が、読んでいて親近感や心地良さが大きいなぁと。
じゃあ初代は居心地が悪かったのかというとそうではなく、自分にとって初代の面々は先輩というイメージで。
一方の二代目は今の自分と年齢的に近い事もあり、友人というイメージで、雰囲気に「あるある」度が大きい気がする。


と言うのも、自分はオタクな世界●5に足を踏み入れてから、「げんしけん」初代に出逢っていて。
記憶が確かなら、「げんしけん」初代を読み始めたのは高校生の時だったはず。
そんな高校生の自分にとって、初代の面々は楽しそうな、けれど遠い世界の先輩であり続けていて、
憧れや親近感よりも、尊敬の方が先に来ているのかも。


この辺りは、感覚的・雰囲気的な事だから伝わり辛そう……と思いつつ、以前も一度まとめていて。
[木尾士目] 続く「げんしけん」!新世代と色とりどりの想い!
例えば、二代目の新入生に見られるような、オタク趣味へのオープンさ・ポジティブさ
ダラダラもするけれど、同時に一定以上の熱はある、文字通り適当なオタク・スイッチ(?)のON/OFF。
楽しい・好きを共有する事を躊躇しない、アグレッシブ(?)なコミュニケーションなどなど。
げんしけん 二代目の参(12) (アフタヌーンKC)
最新3巻の表紙からもそういう雰囲気が伝わってきて、個人的には思わず混ざりたくなってしまうのでした。

ただ、10代後半や20代前半と若ければ、必ず二代目の方が心地よいかと言うとそうでもないらしく。
自分より若干若く、より「げんしけん」な境遇に近い友人・漣氏は、初代の方が居心地の良さを感じている気がする。
「自分は初代の『げんしけん』に憧れてオタクの世界に足を踏み入れたから、今は親しい友人達から取り残された気もしてしまう」
確かそんな事を、いつぞやの「げんしけんトークで言っていたはず。


自分の友人のように(恐らく)中学生くらいで、オタクな世界に足を踏み入れるのと同時頃に初代「げんしけん」を読んだら、
初代の面々は憧れの先輩でもあると同時に、共にオタクとして成長(?)してきた友人でもあるのだろうと。
それならば、世代の差による違和感は勿論の事、斑目さんの冷めていく様子に寂しさも感じるのも分かるなぁと。


すると、自分が初代よりも二代目に居心地の良さを感じている事と併せて、
友人が二代目よりも初代の方が心地良く感じるのは合点が行くのと同時に、
初代と二代目で描かれている内容は(個々人で感じ方の差はあれど)確固たる違いがあるのだろうと思うのでした。
そして、その違いを如実に示しているのが、我等がヘタレヒロインの班目さんなのかなとも!●余談



と、徒然なるままに「げんしけん二代目」への想いを綴ってみました。


自分は「げんしけん」シリーズを周囲と話す際、
世代差(自分の場合は、10代後半〜30代前半くらいが多いかも?)は勿論のこと、
今回書いたような個人差●6によっても感想や感じ方に違いが見られて面白いなぁと常々思っていて。
そう思わせてくれる「げんしけん」という作品への感謝も込めて、二十代前半の自分が感じている事を文字に込めてみたのでした。


最後に、今回の内容が冒頭の記事&執筆されたbonzoku氏に、僅かでも貢献(?)できたら嬉しく思います。
また、自分の友人こと漣氏には感謝と同時に、また若者「げんしけんトークを是非とも!



●1
最新の『アフタヌーン』はまだ読めていないので、最新話の内容と矛盾した場合はご容赦の程を。
月刊 アフタヌーン 2012年 08月号 [雑誌]
●2
一部改行&強調は筆者ではなく、自分によるもの。
●3
この辺りのオタク文化に関しては、同じく『アフタヌーン』で連載されていた「ハックス」(今井哲也がメインテーマに取り入れていたなぁという事も思い出したり。ちなみに、とってもオススメ。
ハックス!(1) (アフタヌーンKC)
●4
但し、アニメに関しては(コスプレや会話の中で小ネタとして)結構出てきている気がしていて、それは「げんしけん二代目」だけでなく楽園 Le Paradis』で連載中の「Spotted Flowerでも同じく。そうした木尾先生の細かさには毎度感心。
楽園 Le Paradis 第9号
●5
「オタクって何ぞや?」という議論もあるのだろうけれど、ここでは夢中な趣味を追いかけずにはいられない人くらいの認識で。


●6
特に、今回書いた「げんしんけん」を読み始めた時期とオタクの世界に足を踏み入れた時期の関係は、影響が大きい気が。

●余談
余談ながら、上記の過去記事でも書いた通り、そんな自分でも二代目での班目さんの冷め方は物凄く印象的で。
[木尾士目] 続く「げんしけん」!新世代と色とりどりの想い!
この記事を書いた時には、班目さんの“冷める”感覚は全く実感が湧いていなかったように思います&実際そんな事を書いています。
でも、今年の上半期、合計で3-4ヶ月くらい趣味全般から離れざるを得ない状況を経験した今なら、
良くも悪くも(?)現実の選択肢としてぼんやりと想像くらいはできるようになったかなと。


でも、自分の時に猪突猛進な性格上、やっぱり情熱を失い切る事はできなさそうで。
リアルの諸々に全力(以上)な時は、また趣味から遠ざかる事はあるにせよ、
落ち着いた頃には、趣味に猛進していそうだなぁと我ながら呆れつつ思うのでした。


それと、ネットを通じて出逢えた上記の友人こと漣氏とは、
漫画などなどガッツリ話せる共通項が沢山ありつつ、今回の「げんしけん二代目」のように確かに違う点もあって、
そんな同年代の彼と、昨年冬コミで一緒に(ほぼ初めての)同人誌を作れた事、
二人共が大好きで、いつも楽しませてもらっている『楽園 Le Paradis』への愛や感謝を一冊の本という形にできた事は、
本当に幸せで、きっと一生モノの思い出になるだろうと強く強く思っております。
楽園は、ここにもある。「楽園に花束を Des Fleurettes pour Le Paradis」、COMIC ZIN委託中!
楽園は、ここにもある。「楽園に花束を Des Fleurettes pour Le Paradis」、COMIC ZIN委託中!
そんなチラシの裏、もとい余談でした。

新田美波と新子憧はなぜエロいか?:「歩くセックス」と「奈良円光」に関する心理言語学の観点からの一考察

言うまでもなく、本記事はネタ記事です。
内容・構成について細かな点に限らず、大まかな点にも粗や異論反論あるかと思いますが、生温かい目でご容赦頂けると幸いです。
尚、前提知識がある方や要点のみ知りたい方は、考察まで飛ぶと良いかと思います。


序論

始まりは、C氏(monyako氏)の以下の記事を読んだことである。
新田美波はなぜエロいか (from はじめてのC お試し版)
著者も新田美波を初めて見た際、何となく性的魅力を感じた一人である。
この記事は、その「何となく」を言語化した上で、暫定的な一考察を提示した良記事だと思う。


さて、著者は今年の上半期、実質3-4ヶ月程ネットを含む趣味全般から離れてしまっており、
この新田美波と「歩くセックス」に加えて、新子憧と「奈良円光」も併せて同時期に観測した。
どちらも作中では性的魅力を一切明言されていないにも関わらず、受け手の多くが性的魅力を抱いていると推測される。註1


もしかしたら、共時的「何となくエロい」現象の萌芽なのでは……という稚気じみた妄想(ゆめ)を頭の片隅に置きつつ、
拙い身ながらも理由を自分なりに考え続けていた所、セミナーの資料作成中に"Eureka!!"と閃いたのでココに一考察を記す。


本記事の目的として、以下2点を設定した。
1.
「歩くセックス」と「奈良円光」に共通する「何となくエロい」の理由を、著者の専門の関連領域である「心理言語学」の2種類の理論より考察する。
2.
冒頭の記事内の暫定的な結論(オチ)として「中世から文系はアホ」という事が述べられていたので、やはり現代の文系もアホであると、関連領域からの考察を行う本記事を以って示す。註2

「歩くセックス」と「奈良円光」

まず、そもそも「歩くセックス」と「奈良円光」とは一体全体何なのかを簡単に述べておく。
一言で言えば、
「歩くセックス」は『アイドルマスターシンデレラガールズ』のアイドルの一人である新田美波
新田美波(特訓前). (2012, May 25). In アイドルマスター シンデレラガールズ 攻略wiki. Retrieved June 19, 2012, from http://idolmaster-cinderellagirl.net/%BF%B7%C5%C4%C8%FE%C7%C8.html#oae6e114新田美波(特訓後). (2012, May 25). In アイドルマスター シンデレラガールズ 攻略wiki. Retrieved June 19, 2012, from http://idolmaster-cinderellagirl.net/%BF%B7%C5%C4%C8%FE%C7%C8.html#g31d2afc
「奈良円光」は『咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A』のメインキャラクターの一人である新子憧
咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A(1) (ガンガンコミックス)咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A 1 [DVD]
の事を指す、非公式の(二次創作的な)呼称である。註3
歩くセックス
奈良円光 (from pixiv百科事典)
ちなみに、著者は初見で心を奪われ、スバラシイ言語センスだと思っている。

プロトタイプ理論」と「スキーマ理論」

本記事の考察のために、心理言語学の分野における2つの理論:プロトタイプ理論スキーマ理論」を示す。


プロトタイプ理論(Prototype Theory)は、所謂「〜らしさ」に関する理論である。
例えば、ハトとフラミンゴでは、どちらが鳥らしいだろうか?
或いは、"eat", "munch", "crunch", "gobble"という英単語では、どれが他の単語よりも「食べる」らしいだろうか?
社会・文化背景等の要因により差異や例外はあるかもしれないが、恐らく一般的な回答は
ハトの方がフラミンゴよりも鳥らしく、"eat"の方が他の単語よりも「食べる」らしいとなるはずである。


このように私達の心の中には、カテゴリーやグループ毎に「〜らしさ」の典型的な規範(プロトタイプ)が存在しており、
特定の対象を認識・理解する際、そのプロトタイプと照らし合わせ、「〜らしさ」の程度によって分類が行われる。


勿論、プロトタイプに近ければ近いほど「〜らしい」と判断されるが、極僅かでもプロトタイプに類似する点があれば、
(〜らしくない例外として)同じカテゴリーやグループの中に分類、記憶できる柔軟さを持ち合わせている。


スキーマ理論(Schema Theory)は、私達が既に持っている先行知識(スキーマに関する理論である。
私達は特定の対象を認識・理解・記憶する際、その対象から何らかの鍵(キューと呼ばれる)を見付け、
心の中に存在するスキーマからキューに適切なものを呼び出し、その対象を心の中に再構築する。
そして、その再構築した対象と実際の対象が一致すれば、完全な理解が行えた事になる。


しかしながら、スキーマは知識や経験に基づくものなので、その対象に関連するスキーマを持っていない場合も有り得る。
また、本人はキューに対して適切なスキーマと思っていても、実際にはスキーマが間違っていて誤解する場合もある。
要するに、例えば英語がペラペラな人であっても、読んでいる文章や話している内容について門外漢、
または興味関心が薄いためにスキーマが少なければ、読解や会話に困難を来す可能性が高いという訳である。


尚、プロトタイプ同様にスキーマも、特定の対象の特徴による形式スキーマ(formal schema)と
社会的・文化的な要因による内容スキーマ(content schema)という2つの柱が存在する。

考察

以上で考察対象と理論の概観註4を終え、紙面の都合上、早々に考察へと移行する。
つまり、「歩くセックス」や「奈良円光」という言葉の誕生は、プロトタイプ理論的には
新田美波と新子憧はどちらも、私達の心の中の「実は裏で援助交際を行うビッチ」のカテゴリーのプロトタイプに近い
言い換えると、そうした女性キャラクター達のグループのプロトタイプ的特徴を多く有していると考えられる。
この場合、冒頭の記事におけるSomething Orangeの海燕氏の意見は、こうしたプロトタイプの一部となる。


一方、「歩くセックス」や「奈良円光」という言葉の誕生をスキーマ理論的に考えると、
新田美波と新子憧はどちらも、私達の今までの人生の中で蓄えられてきた「実は裏で援助交際を行うビッチ」
に関連する既有の情報、知識、経験を強く喚起する外見・内面の特徴を持っているのではないか、となる。
この場合、冒頭の記事におけるSomething Orangeの海燕氏の意見は、そうしたスキーマを列挙・分析している事になるだろう。


但し、実際(公式)には「実は裏で援助交際を行うビッチ」ではないので、
そうした特徴を持っているにも関わらず、実際にはそうでないアンバランスな(魅力を持つ)キャラクター造形とも考えられる。

結論

本記事では、新田美波のエロさに関するC氏の提案に端を発し、
新田美波・新子憧から何となく感じる性的魅力、即ち「歩くセックス」や「奈良円光」の理由について心理言語学の理論を用いて、考察を試みた。註5


本記事の考察に関しては、上記の2種類の理論を用いる事の妥当性を含め、今後のより一層の検証が必要だと考えられる。
また、本記事は暫定的な一提言の域を出ないが、今後の「歩くセックス」や「奈良円光」考察
ひいては何となく感じるエロさ・ビッチに関する考察に寄与するものであることを願う。
最後に、序章で提示した本記事の目的2に関しては、読者の判断を仰ぎたい。


余談ながら、本記事のプロトタイプ理論スキーマ理論の応用・考察が妥当なものだったとして、
逆にプロトタイプ理論の問題点・スキーマ理論の活用方法もモバマスによって説明が可能だと考えられるが、
将来的な記事の課題としたい。
THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 006 神崎蘭子THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 007 前川みくTHE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 008 諸星きらりTHE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 009 城ヶ崎美嘉THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 010 島村卯月


脚注

註1.
咲-Saki-』の所謂「履 い て な い」については、本記事では考えない。
一応の私見を書いておくのならば、咲-Saki-』において「履 い て な い」は呼吸と同じくらい日常的な事で、
最近は主に永水女子高校の存在もあり、「履 い て な い」はそこまで性的魅力に寄与していないと考えている。
咲-Saki-(8) (ヤングガンガンコミックス)
註2.
但し、著者は「文系・理系の二分で見れば文系」、「取得学位的にも一般的には文系」という事になると思うが、
実際の自分の専攻・専門テーマは所謂「文系」からは結構離れている可能性が高い。
今回の「心理言語学」についても、あくまでも関連領域の一つである。


註3.
それぞれの原作の略称は『咲-Saki- 阿知賀編』・『モバマス』(或いは『モゲマス』や『シンデマス」』とも)
が一般的かと思うが、以下のような略称の存在も確認されるようである。
アイドルマスターシンデレラガールズってなんて略す? (from とりあえず速報)


註4.
本記事では極々大まかな解説のみに留めており、実際には詳細な基準・区分等を有している。
また、どちらも理論なので欠点や改善点は指摘されていると共に、更に解明すべき点も存在する。
尚、もしかすると記号論のアイコン、インデックス、シンボルなどにも通じている考え方かもしれない。


註5.
上記の理論は「心」に関する複数の研究分野で用いられている事・本考察の対象は言語ではない事から、
本記事の題目には「心理言語学」や「認知言語学」ではなく、「心理学」や「神経学」の方が適切だったかもしれないが、
後者は著者との関連が非常に薄いため、前者を用いた事をご了承願いたい。

冬馬かずさバースデー記念RADIO '12/05/28のお知らせ

5/28放送後追記
やはり下記の事情で問題もありましたが、突発平日の放送にお付き合い頂き、ありがとうございました。
ひとまず2点、今回の放送と次回の放送に関して。
●今回の放送は録音してありますので、次回の放送を告知するあたりで(全部ではないかもですが)アップするつもりです。
●接続の関係で平和さんがご参加できなかったので、近い内に改めて平和さんをお呼びして3人での放送をする予定です。
後付な設定ですが、本放送が「冬馬かずさバースデー記念RADIO -introductory chapter-」、近日予定の次回の放送が「冬馬かずさバースデー記念RADIO -closing chapter-」と考えて頂けると良い……かも?
取り敢えず、内容に関しても今回のIC放送から引き継ぎつつ、CC放送で新たなトピックを盛り込んでいこう――という事になりました。




突然ながら、本日5/28は冬馬かずさ@WHITE ALBUM2の誕生日です。
という訳で、細かい過程はすっ飛ばし、冬馬かずさバースデー記念ラジオの放送を急遽決定!
WHITE ALBUM2(「introductory chapter」+「closing chapter」セット版)
このテキストをまとめているのが放送3時間前というあたり、急遽度合いは伝わりそうな。
タイミング的に、以下は告知と言うより放送中用のお品書きな感覚で?


■日時

5/28(月) 20:30頃〜最大22:30頃
上記の事情により、1時間〜2時間の間で柔軟に対応の予定です。

■話す人達

葵(あおい)
葵(@xiang4ri4kui2 / 酔いどれ眼鏡の漫画居酒屋 / 備考:小春・千晶派
ゴルゴ31
ゴルゴ31@golgo31_news2 / GOLGO31 / 備考:雪菜・麻里さん派


しかし、本メンツではかずさ派がいないという残念極まりない事態。
そこで、かずさ派の平和さんにゲストに来て頂く予定です!

■ゲスト(予定)

平和
平和(@kimpeace / 平和の温故知新@はてな / 備考:かずさ・小春派)
但し、接続環境的な都合により、放送中に何度か再接続を行う事になりそうです。
また、その接続状況次第では部分的なゲストになる可能性もありますが、ご了承下さい。

■話す話題

丸戸史明氏、ライトノベルデビューな夏!
参考記事:[ライトノベル]ホワルバ2などが人気のシナリオライター丸戸史明氏が富士見ファンタジア文庫にて新作を発表! (from 平和の温故知新@はてな)


サントラのジャケットを眺めて 〜小春派、大勝利のお知らせ?〜
WHITE ALBUM2 ORIGINAL SOUNDTRACK~introductory~WHITE ALBUM2 ORIGINAL SOUNDTRACK~closing~



「ホワルバ初代」と「ホワルバ2」を比べてみて


発売と完結から約半年、「WHITE ALBUM2」をもっと多くの人にプレイしてもらうには?


改めて、今夏予定のホワルバ2合同誌の宣伝を?


元々はフリートークで考えていた所から、3人が話してみたい事をザックリ挙げてみました。
という訳で、いつも(?)以上に「あくまでも予定」です。
尚、直接な表現や話題は出さないはずですが、作品的に一応の対象年齢は18歳以上になるのかも……?

■配信URL

http://www.ustream.tv/channel/%E6%9C%AC%E7%95%AA%E4%BA%88%E5%AE%9A%E5%9C%B0
今回、直前の決定だったり接続環境の問題だったりで、放送中の余裕が未知数です。
そのため、お聴き苦しい点があるかもしれませんが、何卒ご容赦頂けましたら幸いです。
お応えをお約束はできませんが、ツイッター等での反応は大歓迎ですので、ご感想やご意見等は遠慮なく!



全く急遽にも程がありますが、「ホワルバ2」への愛はギッチリ詰めて行きますので、宜しければお付き合い下さい。
冬も君のいない春も終わっていますが、心にはPowder Snowな風景を描きながら放送していきます!
最後に、改めて冬馬かずさの誕生日を祝って。Happy Birthday to TOUMA Kazusa!!

コミティア100&第14回文学フリマ参加のお知らせ

直前になってしまいましたが、コチラでも簡単に情報をまとめておきます。
詳しくは、相方:漣のブログにて。
[告知]GW中のイベント参加について (from 正直どうでもいい)


コミティア100

■開催日:
5/5(土)
■頒布スペース:
東京ビッグサイト東4 の-47b「酔いどれ眼鏡の。」

第14回文学フリマ

■開催日:
5/6(日)
■頒布スペース:
東京流通センター第2展示場 Fホール オ-59「酔いどれ眼鏡の。」


共に、冬コミで発行した
楽園 Le Paradis』ファンブック「楽園に花束を Des Fleurettes pour Le Paradis」
を持って行きます。
内容や詳細に関しては、以下のバナーのリンク先にて。
楽園は、ここにもある。「楽園に花束を Des Fleurettes pour Le Paradis」創刊!
楽園は、ここにもある。「楽園に花束を Des Fleurettes pour Le Paradis」創刊!


黄金週間後半のお供に、ご興味のある方はどうぞよしなにです!

幻の「吉祥夢」でアイを叫んだネイチャー - 「ネイチャージモン」

月刊ヤングマガジンという月刊の漫画雑誌があります。
その名の通り、月刊の方のヤングマガジンです。
実はヤングマガジンと名のつく雑誌が2種類ある(週刊と月刊)というのは、人によってはオドロキかもしれません?
月刊ヤングマガジン No.4 2012年 4/1号 [雑誌]
とは言え、あくまで個人的にですが、名前や表紙よりも中身の方がよっぽど違う印象を受けます。
赤面悶絶の絶えないラブコメ&笑顔になれる人間ドラマならこみっく☆すたじお(此ノ木よしる)や
不慮の事故による無人島への漂着が、やがて大きな時間のうねりを起こす「レッツ☆ラグーン」岡崎武士)に加え、
こみっく☆すたじお(1) (ヤングマガジンコミックス)レッツ☆ラグーン(1) (ヤングマガジンコミックス)
『月刊ヤンマガ』は素敵なエロコメの宝庫でもあります。
性的昂ぶり、もといエロコメ度を加速させる順番としては、
「南国ちゅーばっか!」こむそう)→イモリ201(今井ユウ)→Kiss×sisぢたま某)がオススメです!
南国ちゅーばっか!(1) (KCデラックス)イモリ201(1) (ヤングマガジンコミックス)Kiss×sis(1) (KCデラックス)


と、ここまで主に可愛らしい見た目の作品を紹介しましたが、今日の本命は絵柄的に対局
そして絵柄だけでなく、内容も強烈に濃く、頭だけでなくお腹へのインパクトも大きい。
そう、ネイチャージモン」(刃森尊×寺門ジモン)です。
ネイチャージモン(1) (ヤングマガジンコミックス)
以前のB級グルメ作品特集の際にも少々触れた本作は、ネイチャーこと寺門ジモンの肉への愛の物語
[稲山覚也][旅井とり×坂戸佐兵衛][水沢悦子×久住昌之] 読んで食べ尽くせ!幸せS級のB級グルメ作品達!
極上の肉を食すために、濃厚なキャラクターのネイチャーが東奔西走。
一種の様式美も備えた安心感のある、肉への愛に溢れたド直球グルメ漫画と言えると思います。


しかし、そんな「ネイチャージモン」の最新話は、その愛と様式美を逆手に取った内容だったのです!
寺門ジモン(原作)・刃森尊(漫画)「ネイチャージモン」『月刊ヤングマガジン』講談社, 2012, p.259
まさかのネイチャージモン」で(きっと)伏線でしたよ!
でも、本作において、この場面が(きっと)伏線とは極めて気付き辛いよ!


今回の舞台は、吉祥寺の幻のお好み焼き屋「吉祥夢」(きっちょむ)
意外な“粉ものネイチャー”再来、更に料理をするのはネイチャー本人で店も貸切状態。
そうまでしてもやりたかった、ネイチャー曰く「一生で一番の渾身のお好み焼き」がテーマ。


そんな少々のイレギュラーはありつつも、
編集部若手部員のコマツの振り回されっぷり
ネイチャーの時にテキトー、時に傍若無人に見えなくもない食へのコダワリ
ハイテンションでいて真面目な調理・食欲を唆られる食べっぷり…と、いつものネイチャーな気でいたのです。
寺門ジモン(原作)・刃森尊(漫画)「ネイチャージモン」『月刊ヤングマガジン』講談社, 2012, p.271
しかし、食事を始め一息つくと、ネイチャーから明かされる衝撃の事実。
今回の店「吉祥夢」は本当に幻の店であり、既に閉店しているとの事。
しかも店主のオヤジサンは現在音信不通。そこから明かされるオヤジサンとネイチャーの過去。


コマツや読者への謝罪と共に、ネイチャーは言います。
今回の「吉祥夢」編は、オヤジサンに対する自分からの個人的なラブレターだと。
そしてオヤジサン本人への語り掛け、読者へ情報提供を求め、余韻を残しつつ「吉祥夢」編は締め。
寺門ジモン(原作)・刃森尊(漫画)「ネイチャージモン」『月刊ヤングマガジン』講談社, 2012, p.285
作品内でも「いつもとは一風変わったエンディング」と明言。
けれど、「情報は真剣に募集」の旨が続いています。
尚、情報の宛先は以下の通り、或いはヤングマガジン編集部コマツまで。

〒112-8001 東京都文京区音羽2-12-21
講談社 ヤングマガジン編集部 月刊ヤングマガジン4号
ネイチャージモン 吉祥夢のオヤジサン」係


つまり、今回、ある意味では何もしていないと言えるのでは?
やった事だけを考えれば、ネイチャーが自分でお好み焼きを作り、コマツに振舞ったのみ。
当然メインはオヤジサンの情報募集で、吉祥夢という場所でお好み焼きを作る事は背景として必要でしょう。
けれど極論を言ってしまえば、同じ行為だけなら自宅でも全くの不可能ではないはずです。


でも、その内容を敢えて一話の漫画として描く。
本作は元々ネイチャーの趣味と実益を大いに兼ねた作品で、それがオモシロさの一つだと思います。
そして今月のネイチャーは、その極地に至ったような気もしたのですな。
個人的に大変熱く、馬鹿野郎(※褒め言葉)な内容でした。
そんな馬鹿野郎の夢の果て“「吉祥夢」オヤジサン編”も、いつの日か読める事を願っております。


最後に、本作は最新コミックス7巻が4/6に発売予定
今回のテーマはホルモンという事で、一冊丸ごとホルモン尽くし!
個人的には、生ホルモンへの唆られ度が異常。



蛇足(?)
冒頭で挙げた通り、『月刊ヤンマガ』には桃色な作品が多いです。
つまり読んでいる時は、必然的に頭の中がピンク色になる。
その状態で以下のコマを目にすると、「恥辱の中でのたうちまわれ」という言葉に胸以外もときめくってものです。
かわすみひろし「風より疾く 16」『月刊ヤングマガジン』講談社, 2012, p.421
尚、この作品「風より疾く」かわすみひろし)は剣道漫画なので、そういう意味での「恥辱」は一切ありません。
むしろ剣道での清々しい雰囲気、純粋でけれど複雑な龍子と和音の関係に癒される素敵な作品でした(今回で完結)。


そして完結と言えば、「こみっく☆スタジオ」(此ノ木よしる)も「次号感動のグランドフィナーレ」との事!? ワッザ!?
春は出逢いと別れの季節なんだなとしんみりしつつ、モチロン来月に期待重点です。